III-P-42
Nonconfluent PAに対するFontan手術の肺動脈再建法の工夫と問題点
新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸循環外科1),新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科2),長岡赤十字病院心臓血管外科3)
渡辺 弘1),高橋 昌1),羽賀 学1),登坂有子1),白石修一1),林 純一1),鈴木 博2),長谷川聡2),朴 直樹2),沼野藤人2),菅原正明3)

【はじめに】Fontan手術ではPA distortion特にnonconfluent PAは重大な危険因子であり,どのようは術式を選択するかは重大な問題である.症例ごとに肺動脈再建法に工夫を要するが,われわれが行った 2 種類の肺動脈再建法ついて報告する.【症例 1】TA,PA,PDA.生後 2 カ月で右ブラロック短絡術(BT),1 歳 1 カ月で左BTを施行.動脈管組織の退縮によりnonconfluent PAとなった.2 歳でグレン手術を行ったが,肺動脈形成手術は加えなかった.3 歳でFontan手術と肺動脈形成を行った.大動脈後部の肺動脈を自己心膜で拡大して左右肺動脈の連続性を作った.術後,肺動脈形成部は大動脈に圧迫されて狭窄し,5 カ月後に肺動脈形成部は閉塞していた.バルーン拡張術を施行して血流を再開した後にステントを留置した.その後 6 年間経過し,再狭窄はない.【症例 2】SV,PS,PDA,bilateral SVC.2 カ月で右BT,11カ月で左BTを施行.左右肺動脈間に狭窄が生じたため,1 歳で両側グレン手術と大動脈後部の肺動脈狭窄部を自己心膜でパッチ拡大した.術直後から肺動脈形成部は閉塞してnonconfluent PAとなった.2 歳でFontan手術を行ったが,肺動脈閉塞部が長いため,肺動脈形成は困難であり,IVCから両側肺動脈へY-graftを用いて再建した.しかし,左側SVC血流が多いために,IVC血流は左肺に流れない血流のアンバランスが生じた.術後 9 カ月の心臓カテーテル検査で,左SVCを閉塞するとIVC血流は左肺に流れることが確認された.現在経過観察中であるが,肺動静脈瘻が生じた場合は左SVC血流の変換を行ってIVC血を左肺に導く予定である.【結論】(1)nonconfluent PAに対する肺動脈再建法は症例の条件を考慮して術式を選択すべきである.(2)大動脈後部でのパッチ拡大では狭窄・閉塞の危険があり,PTAやステント留置が有効である.(3)狭窄部位が長い場合はY-graftを用いた再建は有用であるが,IVC血の左右肺へのアンバランスが生じる可能性がある.

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