III-P-43
フォンタン手術における早期退院―術後10日以内の退院を目指して―
神奈川県立こども医療センター心臓血管外科
武田裕子,麻生俊英,小坂由道,小林真理子

【目的】われわれはフォンタン手術の早期退院を達成するため,低侵襲手術,早期抜管,早期離床を基本として管理してきた.その結果についてretrospectiveに検討した.【対象と方法】対象は最近 2 年間に施行したTCPC症例 30例中conversionを除く29例を検討した.年齢は2.5 ± 1.1歳,体重は11.1 ± 1.8kg.疾患はSV 10例,TA 6 例,AVSD,DORV 4 例,HLHS 2 例,その他 8 例でaspleniaは10例だった.手術は全例心外導管を用いたTCPCで,心拍動下に心外導管を縫着した.【術後管理】術後は全例 1 時間以内に抜管し,術後 1 日でCVライン抜去,ブレイクドレーンバックに変更し,積極的に早期離床を図った.ミリスロール持続投与を術後 4 日間,酸素投与を 1 週間行った.水分制限は維持量の 7 割とし,体重を術後 4 日目以降術前の -5%を目安にコントロールした.ドレーンは 1ml/kg/day以下で抜去した.【結果】心停止下に心内操作を加えたのは 6 例で,手術時間,人工心肺時間は238 ± 59分,84 ± 30分だった.人工心肺充填量は当初の400mlから160mlまで削減した.最低Ht値は28 ± 3%,術中出血量は 6 ± 7ml/kgで,術中に 1 例,術後に 2 例で輸血し,無輸血率は90%であった.人工心肺離脱時のCVPは13 ± 1mmHg,抜管後11 ± 1mmHg,術後 1 日目は 9 ± 1mmHgであった.ドレーン挿入期間は 8 ± 4 日で,27例(93%)で13日以内にドレーンを抜去し得た.2 例で胸水が遷延し,1 例は術後21日目に胸膜癒着術を施行し,ほか 1 例では乳び胸の内科治療を行った.術後平均在院日数は11 ± 4 日.10日以内の退院は29例中19例(66%)であった.再入院は不明熱の 1 例のみであった.【結論】フォンタン手術でも,低侵襲手術,早期抜管,早期離床,そしてきめ細かな管理を行うことによって術後10日目の退院が可能であった.

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