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小児先天性心疾患における心筋細胞のapoptosis(その 2)―先天性心疾患動物モデル(低酸素および容量負荷)における検討(第 3 報)―
友仁山崎病院1),京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学2)
佐藤 恒1),白石 公2),浜岡建城2)

【背景,目的】成人の心不全の進行に心筋細胞のapoptosisが関与していることが明らかにされてきたが,小児先天性心疾患における心不全の病態は明らかではない.これまでにわれわれは幼若ratを用いた先天性心疾患モデル(低酸素および容量負荷)において心筋細胞のapoptosisが起こっていること,両負荷ともにASK1 pathwayが亢進していることを報告してきた.今回同モデルおけるASK1の上流にあたるsignal pathwayの検討を行った.【方法】幼若ratに低酸素負荷(10%酸素)と容量負荷(腹部AVシャント)を作成し,酸化ストレスのマーカーである 4HNEの免疫染色,Ddit3 mRNA定量(real-time PCR)を行った.【結果】4HNEの免疫染色では,低酸素群において高率に陽性心筋細胞を認めた.real-time PCRでは低酸素群で有意なDdit3の発現亢進が,shunt群では発現亢進の傾向がみられた.【結論】これまでの結果から,低酸素および容量負荷は心筋細胞においてともにASK1を介するapoptosisを誘導し,低酸素では酸化ストレスおよび小胞体ストレスが,容量負荷では小胞体ストレスが主体となってASK1を亢進させている可能性が示唆された.

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