III-P-51
小児チアノーゼ性心疾患患者における血清コレステロール値の検討
千葉県循環器病センター小児科
東 浩二,立野 滋,川副泰隆,丹羽公一郎

【目的】小児期の高コレステロール血症は成人期における動脈硬化進展の危険因子の一つとして知られている.成人期においてチアノーゼ性心疾患患者は,非チアノーゼ性心疾患患者や健常者に比べて低コレステロール血症を呈し冠動脈硬化病変を認めないとの報告があるが,小児期における先天性心疾患患者の血清コレステロール値を検討した報告はない.【方法】2000年 1 月~2005年12月に当院に入院した年齢 1~20歳までの計222名の患者の総コレステロール値,LDLコレステロール値,HDLコレステロール値,遊離コレステロール値を測定した.チアノーゼ性心疾患未修復患者群(A群:N = 38,M:F = 22:16,年齢5.0 ± 5.6歳),チアノーゼ性心疾患修復患者群(B群:N = 42,M:F = 26:16,年齢10.2 ± 6.3歳),非チアノーゼ性心疾患患者群(C群:N = 81,M:F = 42:39,年齢8.6 ± 5.7歳),先天性心疾患を有さない不整脈患者群(D群:N = 61,M:F = 29:32,年齢12.1 ± 4.0歳)の 4 群を,さらに 1~10歳と10~20歳に分類し比較検討した.【結果】1~10歳までは 4 群間に各種コレステロール値に有意差はみられなかった.しかしながら10~20歳では,平均コレステロール値に有意差は認めないが,A,B両群では他の 2 群に対し総コレステロール値が170mg/dl以上の高値を示す症例の比率(A:0/10例,B:2/23例,C:7/29例,D:11/46例)と,LDLコレステロール値が110mg/dl以上の高値を示す症例の比率(A:0/10例,B:1/23例,C:5/29例,D:5/46例)が明らかに低かった.【結語】小児チアノーゼ性心疾患患者は,修復後も低コレステロール血症を呈する症例が多く,加齢とともに顕著になることが判明したが,小児期では,成人期のような明らかな違いは認めなかった.

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