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A-I-3 |
修正大血管転位症の各病型における解剖学的右室機能の経年的変化に関する検討 |
埼玉県立小児医療センター心臓血管外科1),東京慈恵会医科大学心臓外科2)
篠原 玄1),野村耕司1),松村洋高1),中村 譲1),森田紀代造2) |
【目的】修正大血管転位症(ccTGA)において三尖弁閉鎖不全(TR),体心室機能不全は大きく予後に影響を与える一方,心内形態によりその病像,臨床経過は大きく異なる.【対象,方法】当科で追跡可能であった 2 心室を有し解剖学的右室を体心室としている28例(isolated ccTGA 12,VSD・ASD 8,PA /severePS + VSD 8).(1)経過,治療歴によりRastelli型conventional repair群(C群),simple CVR or 経過観察群(N群)に分け,各群の解剖学的右室機能,TRの経年変化に及ぼす影響を検討した.(2)三尖弁置換術(TVR)歴を有する 9 例(T群)の観察からTVRの至適時期を検討した.検討には心臓超音波検査およびカテーテル検査でのRVEF,RVEDVを使用した.【結果】N群では中等度以上のTR出現以前より経時的EF低下がみられた.中等度以上のTRが出現するといったんはEF上昇し,その後早いペースでのEF低下がみられた.C群はRVEF,RVEDVとも変化が大きく計測の再現性の問題と,新生児,乳児,幼児期でのpalliationを含む数度の手術による血行動態変化の関与が疑われた.RVEFのベースはN群よりも低値であった.Rastelli型手術後にTRの進行を伴ってRVEDV増加を認める例があった.T群において術前RVEDV 175%N以上,RVEF40%以下の症例では術後の改善が不十分であると思われた.T群には1st decadeでTVRを余儀なくされる症例や20~30代でのRV deteriorationがccTGAの診断契機となっているタイプなど複数の病型が含まれていた.【結論】右室機能低下はTRに関係のないものと中等度以上のTR出現とともに急な悪化を呈するものとがあると考えられた.TVR後の右室機能温存を期待してのTVR適応の決定には早期診断の必要性は高いと思われるが,早期TVRの予後に関するさらなる検討が必要である.C群での段階的手術に伴う血行動態変化が右室機能,TRに及ぼす影響は今後検討の余地があると思われた. |
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