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D-I-12 |
急性心筋炎の急性期心電図による重症化予測 |
長野県立こども病院循環器科
大西優子,里見元義,安河内聰,金子幸栄,梶村いちげ,才田 謙 |
【背景】急性心筋炎は心症状の有無にかかわらず多彩な心電図異常を呈する.【目的】急性心筋炎の急性期心電図から重症化因子を予測すること.【対象】当施設にて入院し臨床的に急性心筋炎と診断し経過観察した11例(年齢 2 カ月~15歳,男:女 5:6),うちポンプ不全を生じた劇症型心筋炎は 4 例.【方法】劇症化した 4 例(B群)とそうでない 7 例(A群)の 2 群に分けて全心電図記録を後方視的に検討した.【結果】ポンプ不全を示さなかった急性心筋炎の 7 例(A群)では,低電位 4 例,陰性T波 4 例,ST-T変化(3 誘導以下)3 例,伝導障害としてRBBB 3 例,LBBB 1 例,CAVB 1 例であった.心室性不整脈合併は 2 例であった.心電図変化は,1 週間以内に正常化した.一方,ポンプ失調を呈した劇症型心筋炎 4 例(B群)では,発症時に広範囲なST-T変化(4 誘導以上:I,II/V2~V5誘導)4/4,低電位1/4,陰性T波1/4,伝導障害としてI-AVB(3),CAVB(1),RBBB + LBBB前肢ブロック(3),RBBB(1)であった.これらの心電図変化は,やはりA群と同様に 1 週間以内に改善を示した.また,急性期の心電図変化と左室の機械的収縮低下との間には関連がなかった(入院時LVFS:A群0.07 vs B群0.13).【考察】入院時心電図からみると,4 誘導以上の広範なST-T変化と伝導障害の合併が重症化する危険因子と考えられた.また急性期劇症化はしなかったが陰性T波を示した 1 例で慢性期にRCM様を呈した例もあることから慢性期の問題については別に検討が必要である.【結論】ST-T変化にCAVB,LBBBを伴う心筋炎はポンプ失調を来しやすく劇症化する可能性が高い. |
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