P-I-4
胎児診断された単心室系型心疾患の経過
静岡県立こども病院循環器科1),浜松医科大学産婦人科2)
満下紀恵1),小野安生1),田中靖彦1),金 成海1),増本健一1),古田千左子1),西口富三2)

【背景】広く胎児心疾患の診断が行われるようになりつつあるが,先天性心疾患のうちでも,単心室型心疾患は比較的発見されやすい.が重症な例も多く胎児診断をすることにより,妊婦とその家族に妊娠継続の選択,児の治療の選択をする時間が与えられることが可能となる.【目的】当院で過去10年間に胎児診断された単心室型心疾患例の経過を検討.【対象と方法】過去10年間当院で胎児心エコーを施行された335例中,単心室型心疾患と診断した連続31例の疾患内訳,治療および妊娠継続の経過,予後を検討.【結果】31例中,初診時在胎週数は21~37週(中央値31週).紹介理由は心疾患疑い22例(71%),心疾患と他疾患合併疑い 5 例(16%),心疾患以外での紹介が 4 例.胎児診断では,aspleniaが11例,単心室が 5 例,TAが 6 例,HLHSが 8 例,ほか 1 例.経過では,房室弁逆流や不整脈による胎児心不全が強いもの,他の合併疾患で児の状態が悪く妊娠継続困難と判断した例, 3 例がIUFDとなった.妊娠継続を希望しなかった例は 2 例(胎児診断は,HLHS 1 例とasplenia 1 例).生後の状態で外科治療を希望しなかった例が 3 例(胎児診断は,HLHS + PVO 1 例とSV + 18 trisomy 1 例,asplenia 1 例).このAsp例はのちに治療希望され最終手術到達.残りの23例(生後診断でasplenia 6 例,HLHS 8 例,TA 5 例,ほか 4 例)は積極的な治療を望まれ,18 trisomy合併の 1 例を除くすべてで外科治療介入を行った.うち 7 例(HLHS 5 例,asplenia 2 例)が亡くなったが,6 例は最終手術に到達.8 例が次回手術待機中.【まとめ】単心室型の先天性心疾患は 8 割強が産科で心異常を指摘されていた.治療予後はまだ満足のいくものではないが,HLHS症例で 8 割,asplenia症例では 7 割強に治療希望があった.

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