P-I-6
肺高血圧を有する先天性心疾患患者におけるbosentan治療の臨床効果の検討
東京女子医科大学循環器小児科
高月晋一,石井徹子,富松宏文,森 善樹,山村英司,中西敏雄

【背景】bosentan治療によりPPHや,Eisenmenger(ES)において臨床改善があることが報告されたが,PHを伴うcongenital heart disease(CHD)への効果については十分知られていない.【目的】PHを有するCHD患者に対するbosentanの効果を検討する.【対象】肺高血圧患者14例:年齢中央値14歳(4~52歳),男女比 5:9,NYHA class 2 10例,class 3 4 例.bosentan投与量は62.5~250mg.対象を 2 群に分けた.1 群:右左短絡群 9 例,内訳はES 5 例(VSD 3 例,AVSD 1 例,AP-window 1 例)チアノーゼ性CHD 4 例(ToF PA MAPCA 2 例,DORV 1 例,SRV 1 例).2 群:右左短絡のないCHD群 5 例,VSD根治手術 2 例,TOF Rastelli術後 2 例,MS術後 1 例.【方法】bosentan治療前と後(1 カ月から12カ月後)におけるSpO2値,心拍数,6 分間歩行距離,6 分間歩行検査中のSpO2の低下幅およびBNP値を検討した.【結果】1 群で,安静時のSpO2値は投与後に有意に上昇(81 ± 11%から90 ± 7%)し,安静時の心拍数も有意に低下(82 ± 6bpmから72 ± 5bpm)した.2 群で,歩行時のSpO2の低下幅は改善(-7 ± 6%から-3 ± 2%)を認め,BNP値は有意に低下(88 ± 49pg/mlから49 ± 30pg/ml)した.歩行距離は両群で有意な改善は認められなかったが(1 群:404 ± 29mから395 ± 41m,2 群:331 ± 109mから323 ± 144m),1 群で3/6例,2 群で3/5例で歩行距離が延長した.【結語】PHを伴うCHDにおいてもbosentan投与により臨床改善が得られる症例が認められた.

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