P-I-7
先天性横隔膜ヘルニアに合併した新生児遷延性肺高血圧症に対するNO吸入,PGI2とsildenafilによる治療
山形大学小児科
鈴木 浩,笹 真一,仁木敬夫

【はじめに】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)において新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)は予後を左右する.PPHNを伴うCDHの 2 例に対してHFO,NO吸入,PGI2に加えてsildenafilを使用したので報告する.【症例 1】在胎35週,体重2,998g,帝王切開で出生した.在胎26週で左CDHと診断された.PPHNに対し,HFO,NO吸入(25ppm)に加え,日齢 1 にPGI2を2ng/kg/minで開始したが,効果はなく,5ng/kg/minに増量し,sildenafilを0.5mg/kg 4 時間ごとに投与した.収縮期血圧はsildenafil投与ごとに約10mmHg低下した.日齢 3 にPPHNから離脱し,日齢 5 にsildenafilを中止し,CDHの手術を施行した.PGI2を日齢 6 に中止した.日齢34にNOから離脱し,日齢64に抜管した.4 カ月で中等度のPHに対してberaprostを開始し,10カ月からsildenafilを併用し,PHは改善した.【症例 2】在胎40週,体重3,280g,吸引分娩で出生した.生後からチアノーゼと多呼吸があり,左CDHと診断され日齢 0 に搬送された.PPHNに対して人工換気,NO吸入(10ppm)等を行い,安定させた後で同日CDHの手術を行った.術後のPPHNに対して,NO吸入(20ppm),HFO等,日齢 1 からPGI2 1.6ng/kg/minを開始し,日齢 5 からPGE1とsildenafil(0.5mg/kg 4 時間ごと)を投与した.一時,効果がみられたが,高度のPHが持続し,日齢21に肺出血で死亡した.病理学的に肺小動脈の低形成,中膜の肥厚と内膜の線維性肥厚などの内膜病変がみられた.【結語】CDHに伴うPPHNに対してNO吸入,PGI2とsildenafilを併用することでECMO導入を回避できる可能性がある.

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