P-I-10
遠隔期川崎病冠動脈障害における心電図同期心筋血流SPECTによる心機能評価
日本大学小児科
金丸 浩,唐澤賢祐,市川理恵,知念詩乃,阿部 修,宮下理夫,鮎沢 衛,住友直方,岡田知雄,原田研介

【目的】川崎病冠動脈障害の長期予後に関する検討は,成人期に達する重症冠動脈障害例においては最も重要なことである.今回,心電図同期心筋血流SPECTによる心機能評価の経時的変化を検討した.【方法】対象は経過観察のため複数回の心電図同期心筋SPECTを行った50例(最終検査時の平均年齢18.5歳)で,検査間隔は平均4.6年である.左冠動脈狭窄 7 例(左冠動脈狭窄群),右冠動脈狭窄10例(右冠動脈狭窄群),多枝病変16例(多枝病変群),有意狭窄なし(対照群)17例である.検査間隔は心電図同期心筋SPECT負荷時に99mTc-tetrofosminを静注し30~60分後に撮像し,三次元自動解析(QGS)を行った.【結果】QGSによる左室駆出率(%)は,左冠動脈狭窄群65.7 ± 11.2(初回)から63.9 ± 8.7(最終),右冠動脈狭窄群65.6 ± 10.7から63.8 ± 7.0(最終),多枝病変群61.5 ± 6.2から59.3 ± 7.7(最終),対照群70.5 ± 7.0から66.1 ± 8.0(最終)であった.QGSによる左室駆出率は対照群に比べ多枝病変群で有意に低下したが(p < 0.01),各群の経過観察の変化に有意差は認めなかった.【結語】遠隔期の川崎病冠動脈障害における心機能は,冠動脈病変の進展とともに低下することが示唆された.しかし,経過観察中に心機能が悪化する所見はなく,左室リモデリングを示唆する所見は認めなかった.

閉じる