P-I-15
川崎病罹患後の巨大冠動脈瘤は血行動態的狭窄である
北海道大学小児科
村上智明,上野倫彦,武田充人,八鍬 聡,武井黄太

【目的】血行動態的に動脈瘤の存在は圧損出を生じ狭窄としてふるまうことが知られている.われわれは川崎病罹患後の冠動脈瘤における圧損出について検討した.【方法】対象は1999年 8 月から2007年 1 月まで川崎病罹患後の診断で心臓カテーテル検査を施行した患児のうち冠動脈に瘤あるいは狭窄を認め,冠動脈予備能(CFR)および心筋部分血流予備量(FFRmyo)を計測した49例.これらの患児おいて,動脈瘤を 1 つだけ有し狭窄のない30本の冠動脈について動脈瘤の大きさによるFFRmyoの差について検討した.統計処理は 3 群以上の差の検定にはKruskal-Wallisの順位和検定を,2 群間の比較についてはWilcoxon-Mann-Whitney検定を使用した.【結果】瘤の位置はLMT 15,LAD 5,LCX 4,RCA 6.瘤の大きさはANl 10,ANm 18,ANs 2 で球状16,球-紡錘状13,紡錘状 1 であった.CFRは3.5 ± 1.0,FFRmyoは0.93 ± 0.04であった.瘤の大きさによるFFRmyoはANl 0.90 ± 0.03,ANm 0.95 ± 0.03,ANs 0.97 ± 0.01と有意な差を認めた(p = 0.0018).各グループ間の比較ではANlとANm(p = 0.0013)およびANlとANs(p = 0.039)の間で有意な差を認めた.【結論】川崎病罹患後の巨大冠動脈瘤は血行動態的に圧損出を生じ狭窄としての意味を有する.

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