P-I-20
散乱線除去用グリッドを使用しない小児心臓カテーテル検査の検討
新潟市民病院放射線技術科1),小児科・新生児医療センター2),心臓血管外科3)
成田信浩1),佐藤誠一2),細田和孝2),坂野忠司2),金沢 宏3)

【目的】小児領域における心カテ時の被曝低減については,ICRP(国際放射線防護委員会),Publication 85で提言されている.そこで小児領域の患者に対するグリッド未装着の有用性を,画質と入射皮膚線量について測定し比較検討する.【方法】グリッド未装着時の散乱線の影響を評価することを目的に,X線管イメージ管距離を100cmとしアクリル厚を 5~20cmまで変化させ,アイソセンターに置いたバーガーズファントムを撮影した.得られた画像を画像解析ソフトimageJにてプロファイルカーブを作成し,低コントラスト分解能を比較した.さらに矩形波チャートおよびブタコロナリーを用いて計算および視覚的評価を行い,臨床画像についても同様に比較検討した.入射皮膚線量についてはコントラスト検討時の撮影および透視条件と同じとし,臨床時のそれぞれの線量も検討した.【結果】(1)低コントラスト分解能の評価から,グリッド未装着での散乱線の影響はアクリル厚15cmまで許容できた.(2)高コントラスト分解能の評価から,アクリルの厚さが増すほど散乱線により画質は低下するが,グリッド有無によるデジタル値の差はおよそ 2 割程度であり,厚さによる違いはみられなかった.(3)ブタコロナリーの評価でも,およそ 2 割程度の画質の低下が確認できた.(4)入射皮膚線量の評価から,グリッド未装着では透視の入射皮膚線量を 3 割以上軽減することができ,厚さが増すほど効果が大きくなった.また,撮影では厚さにかかわらず 3 割減となった.(5)臨床時においては各インチサイズで,平均 5 割程度の皮膚線量を減らすことができた.(6)臨床画像の評価から,体重20kg以内の小児であればグリッド未装着でも,十分臨床に耐え得る画像が得られることがわかった.【まとめ】小児領域における心カテ時の被曝低減としてのグリッド未装着の有用性を実証できた.現在当院では臨床心カテ時,体重18kg未満の小児に対してグリッド未装着で施行している.

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