P-I-23
Fallot四徴症術後症例の大動脈は拡大し,その拡張性は低下している
北海道大学小児科1),循環器外科2)
武井黄太1),村上智明1),上野倫彦1),武田充人1),八鍬 聡1),村下十志文2)

【目的】Fallot四徴症(TOF)では根治術後も進行性に大動脈の拡大がみられることが報告されている.今回われわれはTOF根治術後症例について大動脈径およびその拡張性について検討した.【方法】当院で心臓カテーテル検査を施行しカテ先マノメータにて大動脈圧波形を記録した根治術後のTOF 20例(年齢6.9 ± 6.3歳),および対照として 1 対 1 で年齢をマッチさせたVSD 15例(Qp/Qs < 1.7),ASD 3 例(Qp/Qs < 1.9),MR 2 例の計20例について,(1)Valsalva洞,(2)sinotubular junction,(3)sinotubular junctionから15mm末梢側の上行大動脈,(4)横隔膜部下行大動脈の 4 部位において,左室造影側面像にて大動脈の拡張期最小径および収縮期最大径を計測,カテ先マノメータにて測定した大動脈圧を用いてdistensibilityを算出し大動脈の拡張性を評価した.さらに大動脈のreservoir機能,心内膜下血流への影響をそれぞれdiastolic runoff,DPTI/TTIの指標を用いて検討した.検定は対応のあるt検定にて行った(p < 0.05).【成績】1,2,3 の収縮期最大径はそれぞれ26.8 ± 6.9mm vs 22.8 ± 5.9mm,20.9 ± 4.7mm vs 17.6 ± 4.6mm,21.1 ± 4.6mm vs 18.0 ± 4.7mmで,TOF群において有意な拡大を認め,distensibilityも有意な低下を認めた.4 では 2 群間の大動脈径,distensibilityに有意差は認めなかった.また,大動脈拡張性の低下を認めたものの,diastolic runoff,DPTI/TTIの両指標ともTOF群で低下は認めなかった.【結論】TOF根治術後症例において大動脈は拡大し,その拡張性は低下していた.しかし大動脈のreservoir機能,心内膜下血流は保たれていた.

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