P-I-25
ファロー四徴術後の運動耐容能および運動時換気応答に影響を与える因子の検討
横須賀市立うわまち病院小児科1),筑波大学小児科2),神奈川県立こども医療センター循環器科3)
宮本朋幸1, 2),堀米仁志2),高橋実穂2),村島義範1),康井制洋3),松井 陽2)

【目的】ファロー四徴(TOF)術後遠隔期の心室特性,術後の遺残病変の心肺運動負荷試験(CPX)の各指標への影響について検討する.【対象】TOF術後遠隔期にprospectiveに心肺運動機能検査(CPX),肺血流シンチ,心臓カテーテル検査を行った26例.【方法】CPXで得られた最大酸素摂取量(PVO2),無酸素閾値(AT),最大心拍数/予測最大心拍数(%HR),安静時分時換気量/二酸化炭素呼出量(rVE/VCO2),ピーク時(pVE/VCO2),運動時の分時換気量-二酸化炭素呼出量比例係数(SLOPE)と,心臓カテーテル検査の各指標,左室拡張末期容積(%LVEDV),左室駆出率(LVEF),右室拡張末期容積(%RVEDV),右室駆出率(RVEF),左室拡張末期圧(LVEDP),右室収縮期圧(RVP),右室拡張末期圧(RVEDP),主肺動脈収縮期圧(MPAP),主肺動脈右室圧格差(dP),PA index(PAI),左右肺血流差の絶対値(FB),肺活量(%VC)を比較した.また,FBと心臓カテーテル検査の各指標との関係も検討した.有意確率は 5%未満とした.【結果】平均術後年数は8.9 ± 4.2年,検査年齢は13.8 ± 4.9歳,平均PVO2は40.9 ± 8.8ml/kg/minであった.%RVEDV 103.2 ± 31.3%,RVEF 57.5 ± 5.5%,%LVEDV 123.9 ± 27.1%,LVEF 67.1 ± 6.4で両室機能は保たれていた.PVO2,ATと相関がみられる因子はなかった.SLOPEは%RVEDVと正の相関がみられた(r = 0.64,p = 0.003).また,SLOPEは%HRと負の相関が得られた(r = -0.63,p = 0.002).%VCと相関がみられる因子はなかった.FBが関与する因子はなかった.mild以上のTRを有する例は 1 例でその%RVEDVは113%であった.【結論】(1)TOF術後遠隔期の換気応答を維持するためには,右室容積の減少が必要である.(2)換気応答の低下はchronotropic incompitenceにも関与している.(3)両心機能が保たれている場合は,運動耐容能および換気応答に末梢肺動脈の狭窄は関与しない.

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