P-I-28
ファロー四徴症に初回介入として施行した経皮的バルーン肺動脈弁形成術の効果の検討
大阪市立総合医療センター小児循環器内科1),小児心臓血管外科2),現 日生病院3)
川崎有希1),村上洋介1),保田典子1),鈴木嗣敏1),江原英治1),小澤秀登2),康 雅博2),川平洋一2),西垣恭一2),杉本久和1, 3)

【背景】新生児期,乳児期早期のファロー四徴症(TOF)の低酸素血症に対しては,体肺動脈短絡術(S-P shunt)を施行するのが一般的である.しかし,肺動脈低形成などのためS-P shuntが困難な例がある一方,右室流出路狭窄に弁性狭窄の関与が強い場合には,経皮的バルーン肺動脈弁形成術(BPV)の効果が期待できる.【目的】TOFに対して初回介入として施行したBPVの有効性について検討する.【対象と方法】当院で2000~2006年にTOFに対し初回介入としてBPVを施行した 7 例について,SpO2やPA indexの変化,術後経過などについて後方視的に検討した.【結果】BPV施行時年齢は中央値17(0~119)日,体重は2.8(2.3~4.4)kg.出生体重822gの超低出生体重児を 1 例含んでいた.PGE1の投与を要し,動脈管(PDA)依存性であったものが 2 例(A群),主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)と肺動脈低形成を認めたものが 2 例(B群),PDA,MAPCAともに認めなかったものが 3 例(C群)あった.A群の 2 例はPDA依存性からの離脱を期してBPVを施行したが効果なく,2 週間後におのおの,S-P shunt,姑息的右室流出路再建術を行った.B群の 2 例はS-P shunt困難な肺動脈低形成であったが,BPV後PAIはそれぞれ43から79mm2/m2,33から157mm2/m2と増加した.C群は低酸素発作の 2 例と,日齢 0 のPGE1無効のPDA閉鎖例で,3 例ともSpO2は60%台であった.右室流出路狭窄に弁性狭窄の関与が強いと考えられBPVを実施.1 例は無効で,S-P shuntを追加したが,2 例でSpO2は約90%に改善した.7 例中,B群 2 例を除く 5 例で心内修復術を終え,経過良好である.【まとめ】新生児期,乳児期早期のTOFに対する初回治療介入として,BPVは一つの選択肢となり得る.

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