P-I-30
健常小児心機能のspeckle tracking法を含めた心エコーによる評価
日本医科大学小児科
初鹿野見春,勝部康弘,鈴木伸子,渡邉 誠,阿部正徳,池上 英,渡邉美紀,上砂光裕,深澤隆治,小川俊一

【背景・目的】昨年本学会でわれわれはカラー組織ドプラ心エコー法を用いて,健常小児(新生児~学童期)では加齢に伴い心収縮・拡張能ともに発達していくことを提示した.これまで検討してきた心収縮能は,四腔断面像のカラー組織ドプラ画像から解析した長軸方向のものであった.今回は2D心エコー画像上で心筋組織内の微小エリアの移動を追跡することにより心筋の動きを計測するspeckle tracking法という新しい解析方法を用い,左室短軸像上でradial方向の収縮能について検討を加えた.【対象と方法】健常小児92名を 5 群:日齢 0~5(A群,n = 21),生後 1 カ月(B群,n = 11),1 歳(C群,n = 20),6~7 歳(D群,n = 20),12~13歳(E群,n = 20)に分類し,Vivid 7(GE横河メディカルシステム)を用い心エコー検査を施行.2D画像で乳頭筋レベルの左室短軸像を描出し心周期を記録.その後speckle tracking解析ソフト(EchoPAC)を用い,全周を 6 等分した各部位における2D strainピーク値の計測を行い,結果について年齢グループごとの比較を行った.【結果】各部位での2D strainピーク値のおもな推移は{A群,C群,E群}= 前壁:{21.46 ± 2.8,47.28 ± 11.0,53.09 ± 4.8%},後壁:{18.89 ± 4.5,56.08 ± 11.1,68.91 ± 10.9%},中隔:{28.46 ± 3.1,55.80 ± 7.4,71.31 ± 1.7%}であり,すべての部位において年齢に伴う変化がみられた.【結語】左室radial方向の収縮能についても長軸方向と同様,新生児早期から13歳の間で加齢に伴い収縮力の増大が認められた.

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