P-I-33
左室restrictive filling patternの成因は左房圧上昇のみではない
Cardiology, Wake Forest University School of Medicine, USA1),埼玉医科大学小児心臓科2)
増谷 聡1, 2)

【背景】左房圧上昇が心不全(HF)にみられる左室restrictive filling pattern(RFP)の成因と示唆されてきた.これに対しRFPは拡張能低下の結果であり,急性容量負荷(Vol)による左房圧上昇にみられるFPとは異なるとの仮説を立てた.【方法】8 匹のconscious chronically-instrumented dogsで検討した.自律神経を薬理学的にブロック後,デキストラン500mlを急速静注した(Vol).4 週間の高頻度右室ペーシングにより心不全を作成した(HF).それぞれで非鎮静下に左房圧と左室圧・心室径(3 方向)を記録した.FPは左室容積・長軸長の微分波形より算出した.【結果】Vol,HF両群で心拍数・左房圧はmatchした.Eはコントロールに比し両群で増大したがVolで有意に大きかった.Volに比し,HFにおいて有意にE deceleration time(DT)は短かった.コントロールに比し,EMはHFで減少したがVolでは増加した.EMのタイミングはコントロール・VolではEに比し遅延しなかったが,HFでは有意に遅延した.Volに比し,HFでは有意に左室時定数が延長し,chamber stiffnessが大きかった.【結論】拡張能低下を伴わず左房圧を心不全レベルに上昇させて得られたFPは,心不全でみられるRFPとは異なる.RFPでみられるDTの短縮,EMの減少・遅延は,それぞれ左室chamber stiffnessの増大・時定数の延長を反映しており,RFPは左房圧上昇のみが成因ではなく,拡張能低下も反映したものである.【謝辞】本研究はWake Forest大にて,Little WC, MD,Cheng CP, MD,Cheng HJ, MD,Hasegawa H, MDと共同で施行した.

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