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Amplatzer心房中隔欠損閉鎖術(ASO)を目的としたASD症例の検討―ASD外来の役割―
社会保険中京病院小児循環器科
西川 浩,松島正氣,大橋直樹,久保田勤也

【背景】当院では認定施設になりAmplatzer心房中隔欠損閉鎖術(ASO)を始めるに当たりASD外来を開設した.当外来受診後,改めて経食道心エコー(TEE)を予定.その結果でASOを計画している.【目的】ASD外来受診症例がどのような治療対象となり得るかの検討.【方法】2006年 4 月以降,ASD外来を 1 症例に 1 時間の予約制で面談および経胸壁心エコー(TTE)を行っている.その後のTEEは原則,静脈麻酔で 1 泊入院で行っている.当外来を受診した59例を対象に外来および入院診療録を検討した.【結果】ASD外来のTTEで適応から外したものは59例中 6 例(10%).孔が大きいが 3 例(1 例は前医でのTEEの見直しから再び対象となった).PAPVD合併疑いが 1 例,高度肺高血圧合併例が 1 例であった.外来後に手術法を選択したものが 1 例.残り53例中30例でTEEを終了し,現段階での適応外が 8 例(27%),適応ありが22例(73%)であった.適応外の理由(重複あり)は,孔が大きい 4 例,小さい 2 例,多孔性 3 例,将来再検討が 1 例あった.全体では14例(24%)が適応外だった.手術法が必要と考えられた 9 例中 3 例(33%)は当院で,5 例(56%)は紹介元でとなった.10例でASOを終了.TEEで適応ありと判断した全例で留置可能だった.【考察】ASOを目的としたASDの全例が治療対象となるとは限らず,また,初回受診時には治療希望ではなく,まずは話を希望する患者もおり,外来進行上,混乱が予想されるためASD外来を開設した.当外来を経由しASOを決定していくうえで患者は十分に検討ができ,利点欠点を理解して治療を受けることが可能と考えられた.他施設で手術を進める際のセカンドオピニオン的役割も果たしていると思われた.外来経胸壁心エコーのみでは不十分であった成人例があり,以降はASOを希望される症例ではTEEを行うよう努めている.【結語】ASOの適応を決め,患者の自由な選択を可能にするためにはASD外来での十分な情報提供と事前のTEEが大切である.

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