P-I-38
動脈管コイル閉鎖術後の狭窄に対するカテーテル治療
埼玉医科大学小児心臓科
松永 保,小林俊樹,岩本洋一,石戸博隆,竹田津未生,先崎秀明

【背景と目的】近年,動脈管開存症(PDA)に対するコイルを用いたカテーテル治療がさまざまな施設で行われるようになった.合併症としては,左末梢性肺動脈狭窄(LPPS),大動脈縮窄症(CoA)等が知られている.今回われわれは,PDAコイル閉鎖術後の狭窄に対するカテーテル治療を 4 例経験したので報告する.【対象と結果】1994年以来,当科でPDAコイル閉鎖術を受けた77人のうち,コイルによる狭窄に対してカテーテル治療を行った 4 例について,狭窄部位,狭窄の原因,カテーテル治療とその成績について検討した.基礎疾患は,3 例がPDA,1 例がTA,PSで,PDA閉鎖術は,生後26日,7 カ月,11カ月,5 歳10カ月で行われていた.狭窄部位は,LPPSが 3 例,CoAが 1 例だった.狭窄の原因は,PDA結紮術後の遺残短絡に対して緊急でコイル閉鎖術を行った 1 例と,コイル留置前よりLPPSを認めた 1 例で,コイル周囲の内膜増殖に伴いPPSが進行した.8 年後の定期受診でLPPSを指摘された 1 例と,7 年後に上肢高血圧でCoAを指摘されたTAの 1 例は,過剰に突出したコイルが血管内腔を全周性に覆い狭窄の原因となっていた.カテーテル治療は,PDA閉鎖後 4 カ月~10年で行われ,LPPSの症例では,MPA収縮期圧は29から23mmHgに,CoAの症例では,引き抜き圧差が46から-10mmHgへ改善した.内膜増殖が原因だった 2 例に対しては,バルーン拡張術のみでは不十分で,cuttingバルーンとステント留置の追加が必要であった.コイルによる狭窄の 2 例では,バルーン拡張によりコイルの変形と断裂が認められ,追加治療は必要としていなかった.【結語】PDAコイル閉鎖術後の狭窄は,狭窄の原因によってさまざまなカテーテル治療を組み合わせることにより良好な結果を得られる可能性があるため,積極的に治療を試みるべきだと考えられた.

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