P-I-45
QT延長症例に対する顔面冷水浸水試験の検討
金沢大学小児科
斉藤剛克,橋田暢子,中山祐子,石崎顕子,太田邦雄,小泉晶一

【目的】学校検診で要精検となったQT延長症例に対し顔面冷水浸水試験を行い,QT延長症候群の診断における有用性を検討した.【対象】小学校および中学校検診で要精検となったQT延長症例51名,および有症状者(含治療症例)およびその同胞10名の計61名.【方法】10°Cの冷水で顔面冷水浸水試験を施行.その前後で心電図を記録し最大心拍数(max HR)時および最小心拍数(min HR)時のQTおよびQTc(QTc max HR/QTc min HR)を 3 心拍の平均で算出した.対象をShwartzのLQT scoreでlow score群(0~2 point)とhigh score群(3 point以上)に分け,各群で負荷前後のQTc値(Bazzet)の変化およびQT/HR関係の傾き(k値)を算出し検討を行った.顔面冷水浸水試験有所見者では同意を得て遺伝子検索も実施した.【結果】low score群(n = 46)では負荷によりQTcが短縮するのに対し(QTc max HR/QTc min HR;0.437 ± 0.027/0.371 ± 0.024{k = -0.95} p < 0.005),high score群非治療例(n = 11)ではQTcの短縮傾向が乏しかった(0.483 ± 0.028/0.459 ± 0.050{k = -1.84} p = 0.136).またhigh score群治療例(n = 4)ではQTcの短縮傾向がみられた(0.466 ± 0.017/0.407 ± 0.028{k = -1.54} p < 0.05).検診症例51例の検討でも同様に,low score群(n = 43)でQTcが短縮し(0.434 ± 0.026/0.372 ± 0.024{k = -0.95} p < 0.005),high score群(n = 8)ではQTcの短縮がみられなかった(0.474 ± 0.018/0.455 ± 0.057{k = -1.91} p = 0.372).high score群 8 例中遺伝子検索にてLQT1 2 名,LQT2 1 名が同定された.いずれもLQT score 3 pointで顔面冷水浸水試験前後のQT/HR関係の傾きはk > 1.2であった.【結論】ShwartzのLQT scoreにおいてscore 2~3 pointsはintermediate probabilityとされるが,score 3 以上の群と 2 以下の群では顔面冷水浸水負荷に対する反応が異なり,score 3 以上の群のなかには遺伝子検索にて確定診断される症例が存在する.

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