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Costello症候群に伴うchaotic atrial tachycardiaの 1 例
埼玉医科大学小児心臓科1),小児科2)
石戸博隆1),小林俊樹1),先崎秀明1),松永 保1),竹田津未生1),岩本洋一1),大竹 明2)

【背景と目的】Costello症候群は,成長障害,精神遅滞,巨頭症,特徴的な粗い顔貌,皮膚弛緩,手掌と足底の角質増殖,口周囲・鼻等の乳頭腫,大脳萎縮などを伴う多発奇形症候群で,悪性腫瘍の発生率の高さに加え,肥大型心筋症やchaotic atrial tachycardiaによる突然死も問題とされる.小児期の特発性chaotic atrial tachycardiaに対してはpropafenoneやamiodaroneの使用が有効との報告が散見されるが,Costello症候群においてはいまだ定見がない.今回われわれは,のちにCostello症候群と遺伝子診断された症例のchaotic atrial tachycardiaに対し薬物治療を行い一定の効果を得たので,多少の文献的考察とともに報告する.【症例】現在 6 カ月の男児.在胎36週 5 日,帝切で出生.出生時体重3,664g.著しい呼吸障害を認め当院未熟児科にて呼吸管理.染色体異常なし.PAC多発のためatenolol開始.生後 2 カ月で退院したが,呼吸障害が遷延し体重も出生時より減少しており,3 カ月時当院小児科入院.顔貌異常等からCostello症候群を疑われた.PACが頻発しており,心電図上,異所性P-P周期を伴う異常P波・頻回にブロックされるP波・P-R間隔の変化等を認め,chaotic atrial tachycardiaと診断.PSVTを認めたためatenololに加えflecainide/nifekalantやamiodaroneも併用したが効果がなく,最終的にdisopyramideが著効を示し,現在でもatenolol + disopyramideにて良好なコントロールを得ている.呼吸障害に対しては誤嚥と喉頭軟化症が大きく関与しており,十二指腸チューブによる経管栄養およびphenobarbitalによる鎮静にて寛解,baselineの頻脈も改善した.遺伝子診断ではG12S mutation(34G→A)を認め,Costello症候群と確定診断.【結語】Costello症候群に伴うchaotic atrial tachycardiaに対しdisopyramideを使用し,一定の効果を得た.今後は文献的もしくは薬理学的裏付けを得て,Costello症候群の有効な治療の一助とする必要がある.

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