P-I-48
Torsade de pointes・VT stormを来した 3 例の検討
埼玉県立小児医療センター循環器科
濱岡亜希子,齋藤亮太,豊田彰史,菱谷 隆,星野健司,小川 潔

【はじめに】QT延長症候群ではまれにtorsade de pointes(TdP)・VT stormを合併することがあるが,その経過や治療に関するまとまった報告はない.われわれは 3 例 4 回のstormを経験したので報告する.【症例 1】10歳男児.生後 1 日よりTdPを繰り返し当院新生児科に入院,QT延長症候群・左室緻密化障害と診断された.繰り返すVTに対してMg投与やDCを施行し安定した.β-blockerとメキシレチン内服で外来にて経過観察していたが,コントロールは良好であった.10歳時に誘因なく数回の失神発作の後,心肺停止状態となり当院へ搬送された.救急車にてDCを 3 回施行し蘇生された.入院後,ECG上TdP・VTを認めDC・Mgを繰り返し 2 日後にstormを脱した.【症例 2】4 カ月男児,生来健康であった.入院当日,嘔吐のため近医受診,呼吸・循環不全のため当院へ搬送となった.多源性心房頻拍と著しい心収縮力低下を認め,カテコラミン治療を開始したが,VTを頻発するようになった.同時に一時的にQT延長も認めた.Mg・DCを繰り返し,半日後には安定した.【症例 3】14歳男児.5 歳時より年 3 回程度の失神発作を認めており,当初はてんかんとして治療されていた.10歳時にQT延長症候群と診断され,β-blockerの内服を開始した.入院当日は朝,内服前に胸痛を訴え意識消失,救急車にて当院へ搬送となった.メキシレチン・β-blocker・リドカイン・ペーシングカテーテル・DCなどを試みるも改善せずTdP・VTを繰り返した.Mg投与を開始してからは発作を認めずコントロールが可能となった.【まとめ】当院では 3 例のTdP・VT stormを経験したが,誘因なく発症・DCまたはMgのみが有効・stormは半日~2 日で終息という共通点を認めた.これらの症例に関して,文献的考察を加えて報告する.

閉じる