P-I-49
交感神経刺激に伴う血管内皮細胞由来血管作動性物質の変動
日本医科大学多摩永山病院小児科1),日本医科大学武蔵小杉病院小児科2),さいたま赤十字病院小児科3),大宮医師会市民病院小児科4),日本医科大学小児科5)
鈴木伸子1),深澤隆治1),阿部正徳5),渡邉 誠5),池上 英3, 5),大久保隆志4, 5),渡邉美紀2),初鹿野見春2),上砂光裕2),勝部康弘2),小川俊一5)

【目的】慢性心不全では交感神経活性の増加と副交感神経の減弱が認められる.交感神経刺激による血管内皮細胞由来の血管作動性物質の変動を検討した.【方法】培養したHUVECを用い,交感神経刺激としてepinephrineを2nM,20nM,200nM負荷し,その2,6,24時間後のMCP-1,eNOS,ET1,ICAM-1,VCAM-1の発現を検討し,epinephrineの負荷量,負荷後の時間差などとの変動を比較検討した.なお,epinephrine負荷前のHUVECをコントロールとした.HUVECからRNAを抽出し,RT-PCR後にApplied Biosystems社製GeneAmp 5700を用いて定量PCRを行った.各遺伝子の発現は,同時に定量PCRを行ったβactinの発現との比にて表し,mean ± SDにて表現した.【結果】MCP-1,ET-1,ICAM-1,VCAM-1の発現はepinephrine負荷2,6,24時間で増加し,eNOSの発現は逆に低下した.これらの反応はepinephrine 2nMによる刺激でより顕著であった.特に,MCP-1は負荷 2 時間後(1.16 ± 0.03)よりcontrol(1.08 ± 0.02)に比し有意に増加し,その作用は24時間(1.22 ± 0.02)まで持続的に増加した.VCAM-1も負荷 6 時間後(0.97 ± 0.04)よりcontrol(0.89 ± 0.05)に比し有意に増加し,24時間後(0.97 ± 0.04)まで持続した.ET-1も負荷後24時間でcontrolよりも有意に高値を呈した.一方,eNOSは負荷後 2 時間より低下傾向を示し,24時間後にcontrol値に復した.【結論】交感神経刺激によりケモカインMCP-1,接着因子VCAM-1が有意に高値となり,白血球の血管内皮細胞への接着・浸潤が亢進することが示唆された.

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