P-I-54
中学 1,2 年生に対するbasic life support指導を経験して―BLS後のアンケート調査を中心に―
岩手県立中央病院小児科
斎藤明宏

【背景】近年,医療関係者を中心に 1 次蘇生処置(BLS)が広く認知されるようになり,講習受講者も増加している.一方,1 次蘇生において最も重要な心肺停止からの10分間に医療関係者が立ち会える可能性は低く,一般市民への普及が望まれる.【方法】当院に隣接する 1 中学校の 1,2 年生(合計259名)を対象に蘇生用人形30体を準備し,市内消防隊員および当院医師の協力を得,BLS講習を行い,講習後にアンケート調査した.【結果】有効回答は257(99.2%).心肺停止現場遭遇歴あり:26名(10.1%).講習内容が難しかったまたはやや難しかった:107名(41.6%).難しかった内容は人工呼吸114名(44.4%),次いで呼吸循環確認65名(25.3%)であった.ほかの人に教えることができる,または多分できるとの返答が124名(48.2%),再度講習を受けたい,または機会があったら受けたいが185名(72.0%),うち男子が93名(62.4%),女子は92名(85.2%)であった.普及のための方法としてテレビや新聞での広告,出張講習などの意見が多かったが,学校教育への義務化の意見もみられた.受講適正学年は中学 1 年が107名(41.6%),小学高学年94名(36.7%)で約 8 割を占めた.感想としてすべての人が講習を受けるべきとの返答が172名(66.9%),知らないよりも知っておいた方がいいが77名(30.0%)だった.【考察】心肺停止現場の遭遇歴ありが約10%みられたことは予想以上に高頻度であった.これは一つの中学を対象としたため同じ現場を複数の生徒が遭遇していた可能性があり,関心の高さにも影響したかもしれない.約97%の生徒が知っておいた方がいいとその重要性を認識し,機会があれば再度講習を受けたいとの返答も 7 割以上に上り,特に女子の関心の高さが印象的だった.また,8 割ほどの生徒が受講適正学年を中学 1 年または小学高学年としており,今後は小学生への講習会についても検討していきたい.

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