P-I-56
一般市民を対象とした,蘇生対象を乳児・小児とした心肺蘇生の指導の重要性
埼玉県立小児医療センター総合診療科
関島俊雄

ガイドライン2005によると,第一発見者としての一般市民が心肺蘇生を行うこと・AEDを使用することは生存率を上げる有効な手段と考えられ,目撃された心停止が発生する可能性が高い空港などの場所ではPADプログラム(AEDの設置とAEDが十分に使用できるようにすること)を普及することが望ましいと高いエビデンスをもって推奨されている.公共事業機関を中心にAEDの設置が進み,学校などへもAEDが設置され,PADプログラムの重要性が認識されてきている.効果的な心肺蘇生の必要性は小児に対しても同様に当てはまる.一方,ガイドラインの変更に伴いユニバーサルアルゴリズムの考え方から,小児でも一般市民に対しては胸骨圧迫・換気比は成人と同様に統一されてきているが,本邦の消防署などで実施されている多くの救命講習会(普通救命講習)では一般成人を対象とし,小児・乳児で若干異なるアルゴリズム(胸骨圧迫の方法やAEDパッドの貼り方の違い)などは,講習されない.蘇生対象を小児に限定した,大規模な心肺蘇生講習会を地域とともに企画し実施した.その実施手順を示し,小児科領域での突然死防止,特に心臓突然死防止には,地域に向けて小児科(小児循環器科)医の活動が必須と思われるので報告した.【講習会A】埼玉県メディカルコントロール協議会後援,講習対象者60名.【講習会B】埼玉県主催,講習対象者80名.【指導員】小児科医(小児循環器科医を含む),看護師(小児救急看護認定看護師を含む),救急隊員.指導員の半数以上はAHA BLSプロバイダー等有資格者.【講習内容】当初はガイドライン2005に則った講習内容で,日本救急医療財団からのBLSの指針が発表された後はそれに従い,小児,乳児の心肺蘇生,小児のAED使用方法を指導した.

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