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RS抗原陽性であった先天性心疾患突然死の 3 例
千葉県こども病院循環器科1),心臓血管外科2)
中島弘道1),山澤弘州1),菅本健司1),犬塚 亮1),建部俊介1),青墳裕之1),上松耕太2),内藤祐次2),青木 満2),藤原 直2)

【はじめに】今回心疾患児において,RSウイルスが関係した可能性がある突然死の 3 例を経験したので報告する.【症例】〈症例 1〉3 歳男児.診断はasplenia,SRV,DORV,post bilBT,気管軟化症,低酸素性虚血性脳症,慢性腎不全.経管栄養中だが状態は安定していた.2005年11月10日インフルエンザ予接.翌日ミルク注入後1.5時間で体動がないことに気付かれ 1 時間後に心肺停止(CPA)で到着.蘇生に反応せず死亡確認.気管分泌物でRS(+)だった.〈症例 2〉1 歳 7 カ月女児.診断はHLHS,post BDGであり慢性心不全で気道感染を繰り返していた.2005年10月12日受診時周囲にRS感染者が多かった.10月18日夜から不機嫌.翌日未明ミルク経口 2 時間後にけいれん様の動きの後無呼吸.病院到着時心肺停止状態であり蘇生に反応せずに死亡確認.気管分泌物でRS(+)だった.〈症例 3〉3 カ月男児.診断はlarge VSD,PDA,PH.染色体異常〔46,XY,add(20)(p13)〕を合併していた.経口哺乳は可能であったが陥没呼吸などが常時みられていた.来院時軽度の気管支炎症状あったが初回パリビズマブ筋注施行.同日夜間に発熱.翌朝服薬後ぐったりし救急車で来院.来院時の心電図はVFであり,蘇生に反応せず死亡.気管分泌物よりRS陽性だった.【まとめ】2005年10月から2006年10月までの約 1 年の間に,当科管理中全患児のうち 4 人がCPAで緊急外来到着したが,うち 3 人でRS陽性であった.全例剖検はされていないが,RSウイルスが突然死に関与した可能性がある.全例発達遅滞あり呼吸状態に問題があった.1 例は染色体異常があった.2 例は気管支炎症状の前駆症状もなく突然悪化した.1 例でパリビズマブ使用されていたがすでに感染後であったと思われる.【結語】心疾患児のなかでも染色体異常や呼吸器疾患の合併がある場合はRSウイルスに対し積極的な対応を要すると思われた.また前駆症状のない心肺停止も多いことに注意が必要である.

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