P-I-61
Glenn術後のFontan candidateに合併した肺静脈閉塞の原因と予後
三重大学小児科1),胸部心臓血管外科2)
大橋啓之1),三谷義英1),早川豪俊1),澤田博文1),高林 新2),新保秀人2),駒田美弘1)

【背景と目的】Fontan candidate症例において,肺静脈閉塞(PVO)は予後不良因子であり,治療戦略に重大な影響を与える.今回,われわれはGlenn術後のFontan candidateに伴ったPVOの治療経過において興味深い知見を得たので報告する.【対象】対象は 4 例.基礎疾患は左心低形成症候群(HLHS)2 例,21 trisomy共通房室弁口(CAVC),左室低形成 1 例,left isomerism,CAVC,両大血管右室起始,肺動脈狭窄 1 例.【結果】2 例は高度房室弁逆流を認め,カテーテル所見,subtraction併用血管造影と造影CTにより心房後面と下行大動脈前面間の圧排によるPVOと診断した.2 例ともPVOには直接治療介入せずに房室弁形成術を施行し,圧排の軽快が上記診断法で確認された.left isomerismの 1 例は房室弁逆流と片側の圧排によらないPVOのため房室弁形成 + PVO解除術を施行したが,治療したPVは術後にほぼ完全閉塞となった.他の 1 例では左上PVの圧排によらない重度閉塞であったが,左下PVは良好に改善しており,シルデナフィル導入のみで治療した.慢性効果として肺動脈圧の低下,SpO2の上昇が得られ,近日TCPC施行予定である.なおシルデナフィルに関しては大学内の倫理委員会に申請し,十分なインフォームドコンセントの下に投与した.【結語】Fontan candidate症例に合併したPVOには一般にmyofibroblastの増生による進行性の病態が知られる.しかし圧排による例では拡大した心房に対する外科治療などにより改善することがあり,PVOの原因を知ることは治療戦略において重要である.原因の評価にはsubtraction併用血管造影と造影CTが有用であった.

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