P-I-67
Heterotaxyを合併した左心低形成症候群(HLHS)の外科治療の問題点
福岡市立こども病院心臓血管外科1),新生児循環器科2),循環器科3)
塩瀬 明1),角 秀秋1),中野俊秀1),檜山和弘1),橘  剛1),梶本政樹1),安東勇介1),総崎直樹2),牛ノ濱大也3),佐川浩一3),石川司朗3)

【目的】heterotaxyを合併したHLHSの外科治療の問題点を検討した.【対象と術式】最近12年間(1995~2006年)にNorwood手術を施行したHLHS 100症例のうちheterotaxyを合併した 8 例を対象とした.初回姑息手術としてNorwood手術を 7 例,両側肺動脈絞扼術(bil-PAB)を 1 例に施行した.PAB症例を除いた手術時平均日齢,体重は14.3 ± 3.3日,2,832 ± 392gであった.合併心疾患として単心房 5 例,TAPVD(Ia,IIb,III)3 例,PAPVD 1 例,共通房室弁 4 例,Bil-SVC 5 例,DORV 2 例を認めた.術前状態はductal shock既往 3 例,中等度以上の房室弁逆流 3 例,PVO 2 例,人工呼吸器装着 3 例であった.Norwood手術時に共通房室弁形成術 2 例,三尖弁形成術 1 例,TAPVD修復術(Ia,III)2 例,ASD作成術 3 例を同時施行した.【結果】Norwood手術後に心不全による早期死亡,低酸素血症による遠隔期突然死を 1 例ずつ,BDG手術後に遠隔期心不全死を 1 例認めた.3 例はFontan手術に到達し,2 例はBDG手術を終えFontan手術待機中である.術後感染,PVOはなく,薬物治療可能なPSVTを 1 例認めている.2 例でFontan時に肺動脈形成術(1 例はステント併用)を要した.弁形成術施行した症例で逆流再発しFontan時に再弁形成術を施行したが中等度逆流残存している.Fontan到達例では吻合部狭窄なく,PAI:219,RpI:1.09,CVP:10.7と問題なくFontan循環成立している.【結語】heterotaxyを合併したHLHSはFontan循環に影響する弁逆流,体肺静脈還流異常などの合併奇形が多く,成績は満足いくものではなかった.今後のさらなる成績向上には計画的段階的な治療戦略が必要である.

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