P-I-75
小児期の大動脈二尖弁:形態と臨床像の関連性の検討
岩手医科大学小児科1),岩手医科大学循環器医療センター循環動態検査室2),岩手医科大学心臓血管外科3),三愛病院循環器科4)
小山耕太郎1),佐藤陽子1),高橋 信1),千田勝一1),佐々木幸子2),伊藤記彦2),嘉村幸恵2),猪飼秋夫3),小泉淳一3),高橋 健3),那須雅孝4)

【目的】大動脈二尖弁は先天性心疾患のなかで最も頻度が高く,若年者,高齢者の大動脈弁膜症の主因の一つであるが,小児から成人への臨床像の推移は明らかでない.また,大動脈弁形成術の開発によって小児期~青年期における手術治療の可能性が広がっている.小児の大動脈二尖弁の形態と臨床像の関連を検討した.【方法】小児科で経過観察中の大動脈二尖弁62例(男性43例,女性19例)を対象とした.最終検査時点の年齢は生後 3 週~22歳(中央値11歳)であった.二尖弁の形態を,心エコー図で癒合している弁尖から,右冠尖-左冠尖型(RL),右冠尖-無冠尖型(RN),左冠尖-無冠尖型(LN)および分類不能(UN)の 4 群に分け,合併症の有無,大動脈弁狭窄(AS),大動脈弁閉鎖不全(AR)の有無と経時的変化を検討した.【結果】二尖弁の形態はRL 27例,RN 15例,LN 4 例,UN 16例であった.合併症は心内短絡を伴わない大動脈縮窄10例,心内短絡を伴う大動脈縮窄(CoA複合)9 例,大動脈弓離断 2 例,VSD 8 例,PDA 5 例,ASD 2 例等であり,23例には合併病変がなかった.感染性心内膜炎の合併はなかった.CoA複合ではほかの群に比べてRLが多く(9 例中 7 例)みられた.左室-大動脈最大圧較差30mmHg以上のASは18例であったが,経過観察中に増強する例はなかった.中等度以上のARは13例でみられ,11例は10歳以上であり,経過観察中に進行する例がみられた.二尖弁の形態とAS,ARの合併との間に関連はなかった.【結論】二尖弁の形態とCoA複合の発生の間に関連が示唆される.小児期にASが増強することはまれであるが,ARは10歳代に進行する例がある.

閉じる