P-I-78
ベイリー乳幼児発達検査を用いた新生児期・乳児期開心術術後発達評価
国立循環器病センター心臓血管外科1),小児科2),富山大学小児科3),千葉大学教育学部4),富山大学心理学教室5)
松崎多千代1),鍵崎康治1),萩野生男1),白石修一1),越後茂之2),市田蕗子3),中澤 潤4),松井三枝5),八木原俊克1)

【目的】新生児期・乳児期開心術術後患児の高次脳機能について,健常児との比較,および手術時の諸要因との関連を検討した.【対象と方法】2004年 6 月以降,当センターにて生後 6 カ月未満に開心術を施行した患児のうち,生後11カ月16日~12カ月15日にベイリー乳幼児発達検査を施行したVSD 17例(欠損孔閉鎖:VSD群),TGA/DORV 2 例(大動脈スイッチ:TGA群),IAA/CoA 3 例(大動脈再建・欠損孔閉鎖:IAA群),および健常対照として生後11カ月16日~12カ月15日に同検査を施行した健常児45名.心的発達指標(MDI)と運動発達指標(PDI)を算出し,手術時の諸要因として術時日齢,在院日数,ICU滞在期間,術時体重を使用した.【結果】患児と健常児との比較では,MDI:91.4 ± 11.9 vs 98.3 ± 9.0(p = 0.022),PDI:88.3 ± 15.5 vs 95.8 ± 14.7(p = 0.064)を示し,患児において精神運動発達の遅延がみられた.疾患別では,VSD群;TGA群;IAA群の順に,MDI:93.2 ± 10.3;99.5 ± 13.4;75.7 ± 9.1,PDI:87.8 ± 16.0;95.0 ± 14.1;86.3 ± 18.0となりIAA群では心的発達に遅延を示す傾向があった.手術時の諸要因との関連では,術時日齢とPDI(r = -0.370,p < 0.10),および在院日数とMDI(r = -0.444,p < 0.05)に相関を認めた.ICU滞在期間および術時体重は発達指数と関連はなかった.【結論】(1)新生児・乳児期開心術術後患児の 1 歳時点での精神運動発達は健常児と比較して遅延していた.(2)運動発達は術時日齢が低い患児ほど先行し,心的発達は在院日数が長いほど遅延する傾向を示した.(3)1 歳以上の別の時点では,発達遅延がさらに回復するのかどうかの検討が必要であると思われた.

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