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当院における小児心臓血管外科術後在院期間短縮の試み
千葉県こども病院心臓血管外科1),循環器科2)
内藤祐次1),上松耕太1),青木 満1),藤原 直1),山澤弘州2),犬塚 亮2),菅本健司2),建部俊介2),中島弘道2)

【目的】近年,欧米および国内の小児病院においても縮小抗生剤使用への移行,術後在院日数の短縮,それらの伴う医療コスト削減の動きが活発である.当院でも抗生剤投与期間の縮小,術後検査回数の削減を行い術後入院期間の短縮化を試みたので報告する.【対象・方法】2006年 1 月~2007年 1 月に当院にて心内修復された 5kg以上のASDおよびVSD計31例.2006年 8 月より以下のプロトコルを導入し,術後在院日数削減を図った.使用抗生剤はCMZ + GM(術後 2 日まで),創部は手術終了直後ハイドロコロイドドレッシング材を用いて管理した.退院の基準を(1)創部感染がなく炎症反応が低下傾向,(2)38°C以上の発熱がない,(3)術後心エコー検査で異常所見を認めない,(4)食欲があり活動度が十分,(5)家族の了承とし,方法導入前後(前:A群16例,後:B群15例)で比較検討した.【結果】(A群,B群,p値)手術時体重(10 ± 5.7,16 ± 14kg,p = 0.10),抗生剤投与期間(5.3 ± 1.7,3.4 ± 2.3日,p < 0.01),血液検査回数(5.4 ± 1.5,4.0 ± 1.3,p < 0.01),胸部X線撮影回数(6.3 ± 1.8,3.8 ± 0.9,p < 0.01),術後在院日数(15.4 ± 3.5,10.6 ± 3.8,p < 0.01).体重はB群で大きい傾向があったが,術後検査回数,入院期間を有意に減少可能であった.術後創部感染,心タンポナーデ等の合併症に伴う再入院は認めなかった.【結語】現在のプロトコルで術後入院期間短縮を行うことが可能であり,包括医療導入を視野にさらに医療コスト削減を行う予定である.今後は患者家族の満足度等の調査を行い,質の高い医療を目指し,さらなる改善点を模索していく方針である.

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