P-I-84
Fontan手術における早期抜管の有用性の検証
北里大学心臓血管外科
井上信幸,宮地 鑑,宮本隆司,山本信行,三好 豊,鳥井晋造,小原邦義

【目的】Fontan手術後の陽圧換気では肺動脈圧(PAP)を上昇させるが,自発呼吸では胸腔内圧が陰圧となりPAPを低下させることが知られている.われわれの施設ではFontan手術症例は手術室での抜管を行っている.【対象と方法】2000年11月から2006年12月までにFontan手術を行った30例において抜管とPAPの関係について検証した.【結果】男19例.女11例.年齢は29.1 ± 24.4カ月(12.2~114.8).体重は11.2 ± 4.1kg(8.2~29.0).術前肺動脈圧は11.0 ± 2.1mmHg(7~16).術前Rpは1.8 ± 0.6単位(0.9~3.2).術前PA indexは278 ± 115(133~572).手術時間は294 ± 57.3分(215~460).人工心肺時間は107 ± 34.7分(60~202).modified ultrafiltration(MUF)は11例(37%)に施行した.術後覚醒が不十分であった 3 例を除く27例(90%)に手術室で抜管を行った.手術終了時から抜管までの時間は20.9 ± 9.3分で,1 例(4%)が呼吸不安定のため手術室での再挿管を行った.ICU入室後はオピスタンによる鎮静を行った.人工心肺離脱後の収縮期体血圧(BPs)は65.7 ± 16.2mmHgでPAPは13.9 ± 3.0mmHgであり抜管後のBPsは90.5 ± 13.8mmHgでPAPは10.8 ± 2.3mmHgとPAPの有意な低下を認めた(p < 0.001).またMUF前後のPAPの変化に有意差は認めなかった.【まとめ】Fontan手術後に手術室で抜管を行い,自発呼吸下にPAPを低下させ循環動態を早期に安定させることが可能であった.

閉じる