P-I-87
三尖弁欠損,肺動脈閉鎖を伴うUhl病に対してRV exclusion + TCPCを施行した成人例
東京大学心臓外科1),小児科2),循環器内科3)
峯岸祥人1),村上 新1),竹内 功1),土肥善郎1),益澤明広1),高本眞一1),平田陽一郎2),小野 博2),渋谷和彦2),賀藤 均2),安喰恒輔3)

【症例】22歳,女性.三尖弁欠損,肺動脈閉鎖,Uhl病の診断で幼児期に右BTシャント,右室流出路形成を受けている.11歳ころよりAF/AFL,右室横隔膜起源のVTを認め,2006年 6 月ごろより急速に運動対応能が低下,NYHA IVとなり当院紹介となった.同年 7 月,前医での心カテでは洞調律復帰後のCIは1.20l/min/m2,右房,右室,肺動脈圧はすべて10mmHgで,Rp 2.5U・m2.著明に拡大し収縮のない右房・右室に圧排されLV Dd/Dsは30/25mmと狭小化していた.心筋シンチで心室中隔の取り込みが低下し,心エコー上心室中隔の奇異性運動がみられ,嚢胞性病変が多発しているが,左心機能は保たれていたため,同年11月にTCPC + RV exclusionを施行した.【手術】total extracardiac TCPC後,横隔膜面を含む右室壁を左右冠動脈間で可及的に切除後,紡錘状パッチで補填.右房壁はCS血流をASDへrerouteできる範囲を残し可及的に切除.Beating下にKochの三角へcryoablationを行いAV blockを作成.著明に拡大した三尖弁輪はfenestrated PTFE patchで閉鎖.残した右房壁でreroutingを行いRV exclusionを終了,左心耳,左室にDDDペースメーカ電極を植え込み手術終了.【術後経過】術後 2 カ月の現在,NYHA I,CTRは62から41%へ,BNPは675.5から68.5pg/mlへ改善.病理検索では右室の斑状心筋脱落,瘢痕様線維化,脂肪浸潤がみられた.心エコーで中隔の奇異性運動の改善が,心筋シンチでは中隔以外の壁運動の改善が認められた.【結語】右心系の心拍出がTCPCで規定される本術式は,二心室修復における左心低形成の限界以下の症例に対しても適応となる可能性がある.

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