C-II-3
MRCAおよびMR心筋造影における川崎病後冠動脈のセグメント狭窄の評価
東京逓信病院小児科1),放射線科2),日本赤十字社医療センター小児科3)
勝又庸行1),鈴木淳子1),武村 濃2),北爪 勉1),稲葉利佳子1),土屋恵司3),薗部友良3)

【はじめに】MR coronary angiography(MRCA)で川崎病のセグメント狭窄(再疎通血管,SS)は最も描出困難な病変である.今回はMRCAとMR心筋造影を用いて,その血管の性状とSSの支配領域心筋における心筋障害について検討した.【対象】対象はMRCAでSSと診断された川崎病罹患の35例43枝(RCA 29,LAD 6,LCX 8)である.MRCA検査時年齢は 5~35歳,X線冠動脈造影検査(CAG)は27例に施行されておりMRCAとの検査間隔は 2日~15年だった.14例に心筋造影を施行した.【方法】8 歳以上は呼吸停止下で,それ以下の小児は睡眠下で呼吸同期法を併用してMRCAおよび心筋造影の撮像を行った.血流を白く描出するSSFP法と,血流を黒く描出し瘤内の血栓や内膜肥厚を描出するblack blood(BB)法を用いた.BB法では血管を横断面で描出するspiral BB法も用いた.CAGとMRCAのSS所見を比較した.またMR心筋造影でSSによる心筋虚血および心内膜下梗塞の程度を評価した.【結果】CAGで28枝にSSを認め,ほかに 2 枝がCAGでは完全閉塞であったが 2 年後と 4 年後のMRCAでSSに進展しているのが確認された.心筋造影では17枝中15枝(88%)のSS支配領域で心筋虚血を認め,心内膜下梗塞も15枝で描出された.そのうち 7 枝(47%)は梗塞の心筋進達度が50%未満でありバイアビリティを有すると判断された.また,従来のRI心筋イメージングでは検出されなかった右室心内膜下梗塞を明瞭に描出した.【考察】多彩な病態をとるSSにおいてMRCAによる描出が明瞭となり診断能力を高めた.さらに心筋造影を追加することによってSS支配領域の心筋虚血や心筋バイアビリティの評価が可能となり,予後の予測やバイパス術の適応決定などに有用であると考えられた.

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