C-II-7
川崎病全国調査で報告された初回治療後のくすぶり・再燃例に関する検討
久留米大学小児科1),北里大学小児科2),自治医科大学公衆衛生学3)
牟田広実1),須田憲治1),伊藤晋一1),籠手田雄介1),岸本慎太郎1),石井治佳1),家村素史1),石井正浩2),上原里程3),中村好一3),松石豊次郎1)

【背景と目的】川崎病治療におけるγグロブリン(GG)治療では,時に微熱が続くくすぶり例やいったん解熱した後に再燃する例がみられ,治療に難渋することがある.本研究では第18回川崎病全国調査成績を用いて,これらのくすぶり・再燃例(以下,くすぶり例)の臨床像について検討した.【方法】第18回全国調査で報告されたGG投与を受けた患者(15,788例)のうち,(1)くすぶり例:初回GG治療終了 5 日以降にGGによる追加治療を受けた患者および,いかなる追加治療も受けていないが初回治療終了 5 日以降になって解熱した患者,(2)対照:初回GG治療終了 4 日以内にいかなる追加治療もなしに解熱した患者,と定義し,比較した.【結果】くすぶり例705例(GG追加治療を受けた症例245例 + 解熱例460例),対照例11,155例であった.くすぶり例は対照と比較し性差はみられなかったが,1 歳未満が有意に多かった(29% vs 25%,p = 0.02).またくすぶり例は対照と比較し有意に不全型が少なかった(9% vs 12%,p = 0.01).くすぶり例では対照と比較し初回GG投与開始病日が有意に早く(4.9病日 vs 5.4病日,p < 0.001),初回GG投与総量が有意に多かった(1,870mg/kg vs 1,835mg/kg,p = 0.03).くすぶり例のうちGG追加治療例の追加病日は13.2病日(7~31病日)で,追加投与総量は1,451mg/kg(500~7,500mg/kg)であった.当然ながら解熱病日はくすぶり例では有意に遅くなっていた(11.8病日vs 7.3病日,p < 0.001).くすぶり例では追加治療例,解熱例とも対照と比較し有意に心血管後遺症の合併率が高かった(1 カ月以内:41%,19% vs 10%,1 カ月以降:17%,7% vs 2%,すべてp < 0.001).【結語】初回治療後にきちんと炎症が改善していないくすぶり・再燃例では心血管後遺症の合併が高率であった.これらの症例に対して適切な追加治療を行うために,初回治療の効果判定の基準と時期について再度検討することが必要と考えた.

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