C-II-8
川崎病急性期治療に対する抵抗性の予測のためのリスクスコアの有用性―既存の 2 つのスコアを用いて―
県立広島病院小児科
木下義久

【目的】川崎病の重症度を予測するスコアとしては原田のスコアが一般的であるが,最近IVIG療法に対する抵抗性を予測する 2 つの群馬スコア(GS)と久留米スコア(KS)が報告された.今回われわれは,これら 2 つのスコアを用いて,初回IVIG不応,追加IVIG不応,冠動脈病変(CAL)出現の予測におけるスコアの有用性について検討した.【方法】対象は川崎病急性期にIVIG 2g/kg 1 回投与を施行した98例.年齢の平均は2.1歳,男女比は60/38.初回IVIG不応23例,追加IVIG不応例10例,冠動脈病変合併例 6 例.IVIG投与前のGS(Na ≤ 133,AST ≥ 100,治療開始病日 ≤ 4,Neu ≥ 80%,CRP ≥ 10,年齢 ≤ 12カ月,Plt ≤ 30万),KS(年齢 ≤ 6 カ月,治療開始病日 ≤ 4,Plt ≤ 30万,AST ≥ 80,CRP ≥ 8)および,治療や予後について後方視的に検討した.【結果】(1)初回IVIG不応の予測:GSのカットオフ値 ≥ 4 としたときの感度は73%,特異度は57%.一方,KSのカットオフ値 ≥ 3 としたときの感度は65%,特異度は67%.(2)追加IVIG不応の予測:GSのカットオフ値 ≥ 6 としたときの感度80%,特異度81%.一方,KSのカットオフ値を ≥ 3 としたときの感度80%,特異度64%.(3)CAL出現の予測:GSのカットオフ値 ≥ 6 としたときの感度83%,特異度78%.一方,KSのカットオフ値 ≥ 4 としたときの感度83%,特異度80%.【結論】初回IVIG不応の予測はGSとKSでそれぞれカットオフ値を ≥ 4,≥ 3 とすることにより感度86%/特異度68%,感度78%/特異度76%という結果が報告されているが,われわれの検討ではいずれのスコアの感度,特異度ともにやや低かった.今回検討した 2 つのリスクスコアはいずれも,カットオフ値を変更することにより,追加IVIG不応とCAL出現の予測にも使用できる可能性があると考えた.

閉じる