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三次元四次元超音波診断(3D/4Dエコー)を利用した胎児心疾患の遠隔診断の試み 第 2 報―先天性心疾患症例における検討―
神奈川県立こども医療センター新生児科
川滝元良

【目的】3D/4Dエコーを使って先天性心疾患の遠隔診断を行った 3 症例を提示し,遠隔支援医療システムの有用性を検証する.【症例】家族から承諾を得られ,産科の主治医または超音波検査技師がGE VOLUSON730 PROまたはEXPERTを使って胎児の3D/4Dのデータをとり,演者がパソコン上で4D viewを使って画像を構築して診断,出生後に診断を確認できた 3 症例を提示.症例 1:11週でNT(nuchal translucency)を認め,18週で羊水染色体検査を行いG bandで正常核型.25週で産科医により胎児心スクリーニングが行われTOFと診断.超音波技師が収集した3D/4Dのデータを解析し,TOFに加えてMAPCA(major aorto pulmonary collateral circulation),右鎖骨下動脈起始異常,胸腺低形成を診断し,22q11. 2欠失症候群の可能性を指摘.母体搬送後出生.出生後,以上の所見が確認され,染色体分析で22q11.2欠失症候群と診断.症例 2:34週で産科医により胎児心スクリーニングが行われ右心房の拡大から心疾患を疑われた.産科医が収集した3D/4Dのデータを解析しMS,VSD,AS,COAと診断.出生後以上の所見が確認された.症例 3:29週で産科医により胎児心スクリーニングが行われ心尖部が右方を向いていることから心疾患を疑われた.産科医が収集した3D/4Dのデータを解析,PA sling(左肺動脈右肺動起始)と診断.出生後以上の所見が確認された.【結語】3D/4Dエコーは検者を選ばず,簡単に短時間で記録することができ,データを送るだけで遠隔地の専門家にコンサルタントが可能となり,スクリーニングの精度向上とともに,移動に伴う妊婦のリスク軽減,負担軽減にも有用である.

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