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外科的治療が奏効したペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)性感染性心内膜炎の 1 例
聖マリアンナ医科大学小児科1),心臓血管外科2)
水野将徳1),麻生健太郎1),都築慶光1),有馬正貴1),後藤建次郎1),栗原八千代1),村野浩太郎1),近田正英2),幕内晴朗2)

症例は 1 歳男児.遷延する発熱のため近医で抗生剤治療がなされていたが解熱せず,その後痙攣発作を認めたため他院に救急搬送となった.痙攣はジアゼパムの投与で速やかに消失したが右片麻痺が残存した.頭部CT検査で広範囲な脳梗塞が確認され,心エコーでは左房内に腫瘤性病変認められた.危急性疾患と考えられ当院搬送となった.当院に入院後,左房内腫瘤は急速に増大し,感染性心内膜炎の疑いで緊急手術となった.右房切開中隔アプローチで左房に到達,左房内の腫瘤は皮膜に覆われた膿瘍であり,左心耳内は膿瘍で塞がれていた.手術は,腫瘤化した膿瘍の除去と同時に左心耳切除を要した.術前の血液培養からペニシリン耐性肺炎球菌(以下PRSP)が検出され,PRSPによる感染性心内膜炎(以下IE)と診断した.術後はimipenem/cilastatin,γグロブリン製剤を使用し,約 1 カ月の経過で再発なく退院となった.肺炎球菌性IEは比較的まれな疾患であり,PRSPに限定すれば海外,国内合わせてこれまでに 3 例の報告しかない.内科的な治療のみでは予後は極めて不良であり,合併症も多彩であることが知られている.本例も早期に手術を決断したことが治療成功の要因であったと思われた.

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