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収縮性心膜炎の 2 例
国立病院機構香川小児病院循環器科1),心臓血管外科2),東京女子医科大学病理科3)
寺田一也1),太田 明1),宮城雄一1),江川善康2),川人智久2),富永崇司2),西川俊郎3)

【はじめに】収縮性心膜炎(CP)は小児ではまれである.診断が難しく,拘束型心筋症(RCM)との鑑別が問題となる.2 症例経験したので報告する.【症例 1】10歳男児.顔面浮腫,腹水貯留で原因検索のため当科紹介.心臓超音波検査にて右心房の拡大,下大静脈の拡大(呼吸性変動の欠如)を認めた.RV E = 60cm/s,A = 33cm/s,LV E = 79cm/s,A = 43cm/s,LVEF 87%,short axis PH(-)であった.肘静脈圧28cmH2Oで中心静脈圧の上昇を認め,心臓カテーテル検査施行.RVEDP 17mmHg,LVEDP 18mmHgで両心室波形はdip-and-plateauを呈し,右心室心内膜心筋生検で正常を確認しCPと診断.心膜切除術を施行した.【症例 2】15歳男児.ダウン症,完全型心内膜床欠損手術後(2 歳時).手術後経過順調で内服なしで経過観察していた.最近 1 年間で16kgの体重減少と易疲労感を認め受診.心臓超音波検査にて上,下大静脈の拡大(呼吸性変動の欠如),房室弁の逆流は極少量であった.肘静脈圧19cmH2Oで中心静脈圧の上昇と認めた.RV E = 91cm/s,A = 74cm/s,LV E = 110cm/s,A = 76cm/s,LVEF 74%,TR RV-RA(PG)= 48mmHgであった.tissue DopplerにてE'9.5cm/s,A'5.2cm/sであった.心臓カテーテル検査施行.RVEDP 23mmHg,LVEDP 20mmHg,mean PAP 54mmHgで両心室波形はdip-and-plateauを呈し,右心室心内膜生検で肺高血圧に伴う心筋障害以外異常は認めなかった.以上よりCPと診断し心膜切除術を施行した.【結語】小児の場合,画像診断におけるCPの特異的所見に乏しく診断に苦慮する.CPとRCMの鑑別に,tissue DopplerでのE'が有用であると報告されている(Am J Cardiol 2004;94:316-319).症例 2 において診断の一助となった.

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