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高血圧を伴った特発性乳児動脈石灰化症の1 例
岩手県立中央病院小児科
斎藤明宏

【症例】2 歳 2 カ月,女児.【家族歴】特記事項なし.【現病歴】2005年 9 月下旬より鼻汁,咳嗽にて近医受診.10月 8 日ころより食欲低下,易疲労感認め,近医にて輸液療法を受けた.その後,ますます活動性の低下を認めたため,前医受診した.X線上,心拡大を認め,急性心筋炎が疑われ,当院紹介となった.【入院時現症】HR 150bpm,呼吸数62回/分,顔色不良,X線上CTR 68%,心電図ではV5-6 でnegative T,心エコーではLVSF = 0.08と著明な左室機能低下を認めた.血圧は176/76mmHgと高血圧を認めた.【入院経過】その後急性心筋炎として加療するも心機能に改善なく,高血圧も持続した.血液生化学検査にてレニン活性20以上,アルドステロン300pg/mlと高値を認め,造影CTにて肝内肝動脈および腎内腎動脈の石灰化を認めたため,特発性乳児動脈石灰化症と診断した.利尿剤,降圧剤,およびエチドロン酸二ナトリウムにて加療するも効果なく,高度左心不全から肺水腫を来し亡くなられた.剖検にて冠動脈,腎動脈などの中膜に石灰化を認めた.剖検所見を含め報告する.

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