P-II-14
家族性肺動脈性高血圧症の臨床像
東邦大学大森病院小児科
池原 聡,直井和之,嶋田博光,高月晋一,中山智孝,松裏裕行,佐地 勉

【目的】家族性肺動脈性高血圧症(FPAH)の臨床像と治療反応性を検討するため非家族性肺動脈性高血圧症(IPAH)と比較検討した.【対象と方法】1999年 4 月から2006年 6 月までにエポプロステノール(PGI2),経口sildenafil,bosentan治療を開始したIPAH症例48例(家族性 8 例:男 2 例,女 6 例,年齢7.2 ± 3.5歳.非家族性40例:男22例,女18例,年齢10.9 ± 3.9歳)の発症年齢,CTR,BNP,また心臓超音波から得られたRV Tei indexを比較検討した.【結果】家族症例では姉が 1 例,妹が 1 例,弟が 1 例,父と兄が 2 例,叔父が 2 例であった.初診時の検討ではFPAH群で発症年齢が7.4 ± 3.6歳,IPAH群で10.1 ± 3.9歳とFPAH群が若い傾向にあった(p = 0.07).CTR,BNPでは両群間に有意な差はみられなかった(p = 0.1,p = 0.34).RV Tei indexではFPAH群の方がIPAH群と比較し有意に低かった(p = 0.01).1 年後の評価ではCTRで両群間に有意な差はみられなかった(p = 0.91).BNPではIPAH群で293.0 ± 470.1から127.1 ± 199.0と有意に低下(p = 0.001)していた.また,RV Tei indexではFPAH群では有意な差(p = 0.86)はみられなかったがIPAH群では有意に低下していた(p = 0.004).転帰に関しては1999年 4 月から2006年12月までの観察期間中に家族性では 8 人中 2 人(25%)が,非家族性では40人中 8 人(20%)が死亡した.【結語】FPAH症例群では発症年齢が低く,また軽症であるが治療反応性に乏しかった.現時点では死亡率に差はなかった.

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