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川崎病の病態とtumor necrosis factor receptor polymorphismとの関係
日本医科大学小児科1),日本赤十字医療センター小児科2),京都府立医科大学内科3),福岡大学小児科4)
深澤隆治1),薗部友良2),浜岡建城3),濱本邦洋4),鈴木伸子1),渡邉 誠1),阿部正徳1),初鹿野見春1),上砂光裕1),勝部康弘1),小川俊一1)

【目的】川崎病は高サイトカイン血症を呈する疾患であり,なかでも炎症性サイトカインであるtumor necrosis factorα(TNF)は,その受容体阻害剤infliximabの川崎病難治症例に対する有効性から,川崎病において一つのかぎを握るサイトカインである.今回われわれはTNF受容体の遺伝子多型を検討し,川崎病病態との関係を明らかにしようとした.【方法】文書で同意を得られた川崎病既往児223例(男145例,女78例,川崎病発症時年齢4.0 ± 4.9歳)に対して,TNF受容体遺伝子TNFRSF1A-609G/T遺伝子多型とTNFRSF1B +196T/G遺伝子多型をPCR restriction fragment length polymorphism technique(PCR-PFLP)により同定し,それら遺伝子多型について各症例の入院日数,発熱日数,免疫グロブリン療法(IVIG)解熱効果(IVIG終了後24時間以内に37.5°C以下に解熱したものを有効とした),一過性拡張も含む冠動脈障害の有無,経過中最高白血球数,最高CRP値を検討した.【成績】TNFRSF1A-609G/T遺伝子多型では検討した項目いずれも有意差が認められなかった.TNFRSF1B +196T/G遺伝子多型では,入院日数,発熱期間,IVIG解熱効果では有意差が認められなかったが,冠動脈障害がTT alleleが他のalleleに比し有意に低く(13.5 vs. 27.4%,p = 0.049),また最高白血球数,最高CRP値も有意に低かった(WBC:14,680 ± 5,022 vs. 16,954 ± 5,851,p = 0.024;CRP:9.2 ± 6.7 vs. 11.4 ± 6.8,p = 0.030).【結論】TNFRSF1B +196T/G遺伝子多型は川崎病の炎症反応の強さとかかわっており,冠動脈障害に影響を与えていることが示唆された.

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