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リスクスコアは免疫グロブリン 2g/kg単回療法に適用可能か?
群馬県立小児医療センター循環器科1),群馬大学小児生体防御学2),済生会前橋病院小児循環器科3)
小林 徹1, 2),井上佳也2),関  満1, 2),岡田恭典1),池田健太郎1),下山伸哉3),鈴木尊裕3),渡邊正之2),石井陽一郎3),小林富男1)

【はじめに】われわれは2005年の本学会で免疫グロブリン超大量療法(IVIG)抵抗例を予測するリスクスコア(Kobayashi T,et al:Circulation 2006)を,2006年はリスクスコアを用いた川崎病初期治療層別化の可能性について報告した.われわれのリスクスコアは高い予測確率で治療反応性を予測できるため初期治療の層別化に有用であると考えられるが,モデルの作成がIVIG 1g/kg × 2 日(1g群)の投与方法で行われたため,IVIG 2g/kg単回投与(2g群)でも同様の予測確率があるかは明らかでない.【目的】リスクスコアがIVIG 2g/kgに適用可能か否かを検討すること.【対象・方法】対象は2000年 8 月~2006年12月までの期間で群馬大学関連13病院にてIVIG療法を受けた919症例.血液検査結果,患者背景から後方視的にリスクスコアをあてはめ(欠損値は各群の中央値を代入),予測確率をROC曲線下の面積で求めた.【結果】801症例が1g群,118症例が2g群による初期治療を受けた.治療開始前のリスクスコア点数は両群同様であった.治療抵抗例を予測するROC曲線下の面積は1g群で0.823(95% CI 0.785 to 0.861),2g群で0.836(95% CI 0.739 to 0.933)と同等の予測確率であった.また,経過中の冠動脈病変合併を予測したROC曲線下の面積は1g群で0.833(95% CI 0.779 to 0.888),2g群で0.730(95% CI 0.565 to 0.865),1 カ月時の冠動脈病変合併を予測するROC曲線下の面積は1g群で0.823(95% CI 0.736 to 0.910),2g群で0.905(95% CI 0.809 to 1.000)と遜色ない結果であった.【結語】リスクスコアはIVIG 2g/kg単回療法に適用可能である.

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