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免疫グロブリン不応例に対する再治療:ステロイドパルス療法の検討
北里大学小児科1),相模原協同病院2),海老名総合病院3)
緒方昌平1),木村純人1),中畑弥生1),藤野宣之2),橘田一輝2),林 初香3),石井正浩1)

【目的】川崎病症例のうち免疫グロブリン(IVIG)療法2g/kg24時間投与に不応であった症例に対し,IVIG追加療法(2g/kg24時間投与)およびステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン30mg/kg/day,3 日間投与)について後方視的に比較を行い,その治療法の有用性を検討した.【方法】2004年 4 月~2006年12月の 2 年 9 カ月間に当院および関連病院 2 施設で川崎病と診断された症例157例のうち,初回IVIG療法に不応であった症例は22例であった.これら22例の追加治療でIVIG追加療法が選択された群とステロイドパルス療法が選択された群で有熱期間,冠状動脈形成例,追加投与不応例について後方視的に比較検討を行った.【結果】初回IVIG不応例22例中,IVIG追加投与群が12例,ステロイドパルス群が10例であった.追加投与開始から解熱するまでの平均期間はIVIG追加投与群3.9日間,ステロイドパルス群1.3日間であった.冠状動脈-過性拡大例はIVIG群 4 例,ステロイドパルス群 2 例であり,冠状動脈瘤合併例はIVIG追加投与群で 2 例認めたが,ステロイドパルス群では 0 例であった.巨大瘤形成例は認められなかった.また追加投与後も寛解せず,再追加治療を行った症例はIVIG追加投与群で 4 例,ステロイドパルス群で 2 例であった.【考察】今回の検討では,ステロイドパルス群がIVIG投与群に比較して,有熱期間,冠動脈瘤形成例,追加治療不応例ともに良い成績を示し,IVIG不応例に対しての追加治療法としてステロイド療法も有用であると考えられた.今後,治療前にIVIG不応例を予測したうえで,重症度に応じた治療法を選択した前方視比較検討が必要と考えられる.

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