P-II-26
MMP遺伝子多型と川崎病患者における冠動脈合併症との関連
九州大学成長発達医学分野
池田和幸,山口賢一郎,山脇かおり,宗内 淳

【背景】川崎病における冠動脈合併症に対する遺伝的な背景については,われわれの研究室からVEGF遺伝子とその受容体であるKDR遺伝子多型が冠動脈合併症に関連していることをすでに報告した.またParkらは動脈硬化や冠動脈瘤形成に関連するmatrix metalloproteinase(MMP)-3やMMP-9遺伝子多型と川崎病における冠動脈合併症との関連を報告している.【目的】MMP-3,9 遺伝子を含む 5 つのMMP遺伝子多型と川崎病患者における冠動脈合併症との関連をより大きな患者集団で明らかにする.【方法】対象は川崎病既往患者の正常冠動脈例(no CAL群,n = 105),冠動脈病変合併例(CAL群,n = 60)および川崎病既往のない健常対照群(n = 175).MMP遺伝子プロモーター領域のfunctional SNPs(MMP-2 -735C > T,MMP-3 -1612 5A/6A,MMP-9 -1562C > T,MMP-12 -82A > G,MMP-13 -77A > G)をRFLP法もしくはTaqManィSNP Genotyping Assaysを用いて解析した.【結果】すべてのMMP遺伝子多型に関して,allele頻度,genotype頻度ともに 3 群間で有意差を認めなかった.一方,MMP-13 -77A > G多型のA allele頻度がno CAL群(45%)や正常対照群(45%)に比較しCAL群(57%)で高い傾向を示した(CAL群 vs no CAL群;補正前p = 0.037,Bonferroni補正後p = 0.111,CAL群 vs 正常対照群;補正前p = 0.029,補正後p = 0.087).【考察】MMP-13 -77A > G多型において,G alleleに比し 2 倍以上の転写活性をもつとされるA alleleの頻度がCAL群で高い傾向にあるという結果は,MMP-13遺伝子発現と川崎病における冠動脈合併症との関連を示唆している可能性がある.

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