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ASDのTEEおよびTTE評価の相違について―Amplatzer septal occluderによる治療に際して―
社会保険中京病院小児循環器科
久保田勤也,松島正氣,大橋直樹,西川 浩

【はじめに】2006年より当院でAmplatzer septal occluder(ASO)によるASD閉鎖術が開始された.その際ASDの評価には経食道心臓超音波検査(TEE)が必須となる.当院ではASOによる治療に際して,全症例に術前のTEE評価を行っており,その結果において治療の可否を決定している.【目的】術前に行ったTEEの評価に対する検討と,経胸壁心臓超音波検査(TTE)とTEEの所見を比較し,その相違点,注意点について検討した.【対象】2006年 5 月から2007年 1 月までにTTEおよびTEE行ったASD症例32例.年齢は 7~74歳,小児(15歳未満)は13例,男女比は15例:17例.原則として 1 泊 2 日の入院下に,静脈麻酔を使用してTEEを行った.合併症は認めなかった.【結果】TEE評価を行った32例中,ASOの適応と判断した症例は25例(78%)であった.TTEと比較して,欠損孔の径の相違が1mm以内のものは12例,1~5mmのものは10例,5mm以上のものは10例.欠損孔の径の相違が大きい症例は,成人女性例,高齢者例,多孔性例,20mm以上の欠損孔例に認められた.小児例では多孔性の 2 例を除き,欠損孔の相違は1mm以内であった.またTEEで適応外と判断した症例は,TTEでは多孔性がわからなかった 2 症例とTTEで20mm以上の欠損孔だった 4 例,欠損孔が5mm以下の 1 例であった.【考察】ASOに際して術前のTEEは原則であるが,全施設が必ず行っているわけではない.しかしTTEとTEEの評価での相違点は思ったより多く,特に成人例,欠損孔がTTEで大きく見える(20mm以上)症例にはTEEは必須であると考える.麻酔科も含めた治療体制をとって,その場で不適応とするのは非効率であると思われる.また逆にTTEで不適応と考えられる症例でも,TEEでみると適応と判断される症例もあり,ASD症例に関しては積極的にTEEを行うことが望ましい.今後ASOの認定施設が増加していくにあたり,術前のTEE評価の重要性が示唆される.

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