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小児におけるアデノスキャン負荷心筋シンチによる虚血診断
長野県立こども病院循環器科1),心臓血管外科2)
才田 謙1),安河内聰1),大西優子1),梶村いちげ1),金子幸栄1),里見元義1),阿知和郁也2),加藤 香2),豊田泰幸2),打田俊司2),原田順和2)

【背景】運動負荷が困難な小児においてジピリダモール(DPY)負荷心筋シンチによる虚血診断が行われてきたが,薬理作用の持続が長くreverseが必要なことが問題であった.【目的】新しい負荷薬剤として代謝時間が短いアデノシン製剤であるアデノスキャンTM(ADS)を用いた負荷心筋シンチの小児における虚血診断の可能性と有用性について検討すること.【対象】2006年 7 月~2007年 1 月までにADS負荷心筋シンチを施行した15例〔川崎病(9),冠動脈瘻(1),先天性心疾患術後(3),左室肥大(1),胸痛(1)〕.年齢9.3 ± 3.8歳,体重32.8 ± 15.7kg.【方法】核種99mTc-tetrofosminを使用.ADSを120μg/kg/分で 6 分間投与40分後ストレス画像を,4 時間後に安静時画像を撮像した.負荷中は心拍数と血圧を 1 分ごとに記録し,心電図と自覚症状を記録した.負荷中止は前値より30%以上の心拍上昇,20%以上の血圧低下,胸痛などの症状を指標とした.負荷の程度を比較するためにDPY負荷群(15例)と比較した.【結果】15例全例に負荷心筋シンチが施行できた.ADSTM負荷とDPY負荷では,peak HR上昇率は32.2 ± 21.8% vs 42.8 ± 24.2%,血圧変動は0.5 ± 6.2% vs 0.7 ± 6.2%であった.副作用はADSとDPYで8/15(53%)vs 6/15(40%)に認めた〔嘔吐(5:5),頭痛(3:1),腹痛(2:0),胸痛(2:0),咳嗽(2:0)〕.ただし,副作用の持続時間は 5 分以内であった.画像上虚血と診断し得たのは 2 例であった.以前DPY負荷201Tl心筋シンチも施行した 7 例では虚血診断一致率は6/7(86%)であった.【結語】アデノスキャンTM負荷心筋シンチによる虚血診断は小児でも可能で,一過性副作用の頻度は多いが,持続時間が短いため小児においては有用と考えられた.

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