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Right isomerismに伴う肺静脈狭窄の形態診断の検討―電子ビームCTによる評価―
国立循環器病センター小児科1),放射線診療部2)
平田拓也1),黒嵜健一1),面家健太郎1),小林奈歩1),神崎 歩2),内藤博昭2),越後茂之1)

【背景】right isomerismは肺静脈狭窄(PVO)を伴うかどうかでその予後が左右され,また外科的修復の点からもPVOの形態が大きく予後を左右する.電子ビームCTは 1 スライス 1 枚当たりの撮像時間が50~100msecと短く,解像度のよい心血管画像を得ることができ,PVOの診断に有用であると考えられる.【目的】right isomerismに合併したPVOの形態について,電子ビームCTにより検討する.【対象・方法】1999年 2 月から2007年 1 月までにPVOが疑われて電子ビームCTを施行したright isomerism 6 症例(男 5 例,女 1 例).平均年齢 4 歳 6 カ月.IMATRON C-100およびC-150を用い,スライス幅 3mmで単純像の撮像後にイオパミドール1.5ml/kgを上腕正中より静注し,造影早期像,5~10分後に造影後期像を心電図同期下で撮像した.【結果】すべての症例で鮮明な肺静脈の画像が得られた.6 症例11病変について形態を分類したところ,肺静脈開口部の狭窄を 2 症例 4 病変,common chamberと心房間での狭窄を 1 病変,末梢性のPVOを 3 症例 5 病変,周囲組織の圧迫による狭窄を 1 病変認めた.圧迫による狭窄の症例は狭窄部位が右上肺静脈で,心房と下行大動脈で挟まれていた.【考案】電子ビームCTは画像解像度がよく,PVOの形態診断に非常に有用であった.また,周囲組織との位置関係を把握できることから,外科的修復に際し多くの情報を提供できると考えられた.電子ビームCTのほかにMDCTによる撮像があるが,時間解像度の点からするとMDCTは電子ビームCTに劣っている.しかし今後MDCTの時間解像度が上昇すれば,簡便に鮮明な肺静脈の形態を撮像できることになり,その撮像回数は増えると思われる.

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