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ファロー四徴症術後遠隔期での運動中の心肺応答と出生後環境の関連
国立循環器病センター小児科
吉敷香菜子,大内秀雄,渡辺健一,則武加奈恵,脇坂裕子,松尾真意,新居正基,渡部珠生,越後茂之

【背景】近年,低出生体重や生後早期の身体発育状況が成人の高血圧,肥満,2 型糖尿病などの生活習慣病と深く関連することが報告されている.一方,ファロー四徴(TOF)患者は,生直後の心血行動態異常から生後早期の身体発育が遅延し,修復術後にその改善が期待される.これらの異常な発育状況は将来の生活習慣病との関連が懸念される.【目的】TOFにおける出生体重と体重変化,運動負荷による運動能および収縮期血圧(SBP)応答の関係を検討する.【対象,方法】対象は,当センターにて心肺運動負荷試験を施行し,出生児,生後 1,2,10年および18年に体重変化を追跡し得たTOF54例.男30例,女24例で,正常出生体重児(2,500g以上:N群)は47例,低出生体重児(2,500g未満:L群)は 7 例であった.運動負荷試験時年齢は16 ± 4歳.出生体重と体重変化,最高酸素摂取量(PVO2,健常者に対する到達度%),安静時,最高負荷時のSBP等との関連を検討した.【結果】出生体重は 1 歳時,2 歳時体重は正相関したが,10歳時,18歳時体重には相関はみられなかった.出生体重とPVO2有意な正相関みられたが(p < 0.05),1 歳以降の体重ではPVO2と関連はみられなかった.一方,安静時血圧は出生体重,1 歳時体重とは関連しなかったが,2 歳以降の体重と正相関した.L群ではN群に比較しPVO2は低い傾向にあったが(p = 0.08),安静時SBP,最高SBPはL群,N群間で有意差がなかった.【結論】術後遠隔期での体重に差はないものの,低い出生体重はTOF術後遠隔期の運動耐容能低下と関連することが示唆された.

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