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小児におけるE/e'の検討(小児領域においてもE/e'が心機能の指標になり得るか?)
東海大学小児科1),神奈川県立こども医療センター循環器科2)
関根佳織1),上田秀明2),高倉一郎1),松田晋一1),菅沼栄介1),中村英明1),康井制洋2)

【背景】近年,左室拡張機能の指標として拡張早期僧帽弁流入血流波(E)と拡張早期僧弁輪速度(e’)の比であるE/e’が肺動脈楔入圧PAWPなどの指標と相関する報告がありその有用性が示唆されているが,小児においては正常値の報告も少なく,その有用性については明確でない.【目的】小児領域でも,E/e’が心機能の指標になり得るか健常児と先天性心疾患を比較し検討すること.【方法】先天性心疾患で心臓カテーテル検査を必要とした23例(年齢 1 カ月~19歳,血中BNP濃度平均値100pg/ml,PS・ASD,VSD,PDA,ECDなどの先天性心疾患術前 9 例,心筋症 1 例,TOF,ECD,BWG症候群,HLHS,DORVなどの先天性心疾患術後13例)と健常児(年齢 1 カ月~11歳)30例を対象とし,東芝製Aplioを使用した.e’は心尖部四腔断面像でサンプルボリュームを僧帽弁輪中隔に置いて計測し,E/e’を計算した.同時に左室EF%,肺静脈波形の拡張期および収縮期の流速比(PV d/s),LV Tei index,FSと左室流など各種パラメータを求めた.【結果】E/e’の分布が先天性心疾患児(12.4 ± 5.2)と健常児(8.9 ± 2.2)において有意差検定をノンパラメトリック検定(Mann-Whitney)で検討したところp = 0.010とその分布に差を認めた.【考察】先天性心疾患児の平均血中BNP値が高値であることから何らかの心負荷がある可能性が示唆され,心疾患児と正常児のE/e’の分布が心疾患児においては正常児よりも高い値を示した.以上から今後小児領域においてもE/e’が高値を示す場合,心負荷ないし心不全の存在を示唆する可能性が高い.しかし,年齢別の正常値について今後さらに検討していく必要があり,現時点では成人同様の指標となり得るかその他心機能指標と合わせ,さらに検討していく必要があると考えられた.

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